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» 2013年11月28日 07時00分 公開

3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(29):3DキャラのPVが簡単に作れる「キャラミん」で、3次元データ普及なるか? (2/2)

[水野操 テクノロジーコラムニスト/3D-GAN,MONOist]
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もう少しキャラミんを知ってみる

 キャラミんOMPのことをもっと実践的に知りたいのであれば、とにかく自分で試すことです。公式サイトからダウンロードすればすぐに使えます。キャラミんOMPは無料のソフトです。

 取りあえず何でもよいので、音楽のファイルを用意して、ドラッグ&ドロップしてみましょう。

 ただ、私にとって残念なのはMac版がないということでしょうか……。そういうわけで、先ほどの動画も、最近購入したWindowsマシン上で動かしています。

 で、このキャラミんですが、先ほどお話をしましたようにのキャラクターやステージ、あるいはモーション(踊り)も変更することができます。これらのデータはどこで手に入れるのかというと、「キャラミんストア」です。言ってみれば、iPhone/iPodとiTunesのような関係でしょうか。ユーザーは自分の好きなデータを買って選択することができるのです。リスナーは、好みのキャラクターやステージ、ダンスの傾向を選ぶことができるのです。

 当然、これでは飽き足らないという人が出てくるでしょう。そこで登場するのが、キャラミんStudioなのです。キャラミんStudioは有償のソフトですが、単に見るだけではなくて、自分で好きなようにダンスの構成をしたり、カメラワークをしてみたり、さらにはリップシンクに表情を付け、そして映像効果を選ぶことができます。

 つまり、本当の意味で、自分のオリジナルミュージックビデオを作ることができるというわけです。

 最終的には、こうやって作った映像作品を、動画投稿サイトにアップして自己表現をすることも可能です。実際、ニコニコ動画を見てみると、作品が既にアップされています。

 自分自身で3Dキャラクター作らなくても、「3次元データを使った映像作品」という意味では、やりようによっては、かなりのことができそうですし、十分個人のセンスを表現できるものが作れそうです。

 このような形で、3次元データに触れていれば、確かにその後「3次元データって何?」何て質問はなくなるのではないでしょうか。

 私は、3次元データに触れる入り口はたくさんあってもよいと思っています。それぞれ得意の分野を生かして、もっとたくさんの人たちに3次元データに触れてもらえる機会を増やしたいですね。

何でキャラミんを開発したの?

 最後に「どうしてキャラミんを作ったのか」、相馬さんとしたお話を対談っぽくまとめてみました。実はこの中に、3D-GANで行われている活動の背景にある思いも含まれています。

水野

どうして、キャラミんを作ろうと思ったのですか?


相馬

自分たちがこういうソフトが欲しかったからです。また、私自身のライフワークとして、3D(3次元データ)をもっと一般の人たちに使ってもらうための活動があります。「これまで、産業用の道具でしかなかったものを、もっと一般の人たちにも使ってもらいたい」という思いから始めました。また、近年はボーカロイドの音楽作りと合わせて、ミュージックビデオを作る一般の人たちも増えてきています。実際、そのための便利なソフトも出てきてはいるのですが、やっぱり難しいのです。


水野

なるほど、そのようなオリジナルミュージックビデオソフトのニーズは高いと。


相馬

難しい操作をしなくても、もっとカジュアルに、軽く音楽を聞くときに、自分の好きな音楽で自分の好きなキャラクターが踊ってくれたらいいな、というニーズはあると思いますし、そのニーズに応えたかったのです。でも、それだけではありません。


水野

というと?


相馬

3次元データを「素材」から「コンテンツ」にしたかったんです。ご存じのように製造業における3次元CADのデータは、製品を作るための中間生成物にすぎませんし、3次元CGのデータもムービーを作るための中間生成物でしかありません。


水野

つまり、顧客はあくまでも最終製品を見ているわけであって、3次元データの存在は知らない、ということですね。


相馬

そういうことです。だから、ユーザーが直接3次元データを操作できる環境を作りたかったのです。そうすることで、3次元データは「素材」から「コンテンツ」になるのです。


水野

なるほど。


相馬

3次元データがコンテンツ化することには、さらに良いこともあるのです。「3次元データを作ることができる」というのは優れたスキルです。もっと、3次元モデラーは評価されてよいのです。3次元データがコンテンツとなることで商品になります。そうすれば、3次元データ自体を商品としてモデラーさんに還元できるようになります。また、キャラミんでは「踊り」も商品になっています。つまり、踊りを振り付ける人も、その「踊り」をデジタル商品として収益を得る道が開けることになります。


水野

確かに、3次元モデラーはもっと高く評価されるべきですね。


相馬

そうです。そして一般の人たちがそのことを評価するには、3次元データというものをもっと知ってもらわなければいけません。


水野

そうですね。そのための活動はもっと進める必要がありますね。


相馬

現在キャラミんではスマホ版の準備を進めています。さらに、このキャラミんの音楽解析技術は、キャラミんカラオケとしてカラオケの鉄人にて一部運用が始まっています。このような展開で一度作った3次元CGデータのマルチな楽しみ、複数の出口を持つことにも取り組んでいます。また、水野さんの記事でも以前紹介してもらった「妖精眼鏡」への出力にも取り組んでいきたいと思っていますし、もしかしたら近い将来に、キャラミんからカラーの3Dプリンタでフィギュアを出力できるようになるかもしれません。


 ……だそうです。ぜひ期待したいと思います。

 このように3D-GANは、3次元データを共通項に、それぞれが自分の領域で活動しています。あらためてキャラミんの話を聞くことは私自身も新鮮でありました。3次元データの活用方法はいろいろ……、というわけで、私自身もリアル・バーチャルを問わずにあらためて一般の人たちに3Dを幅広く知ってもらう活動を考えなおしていきたいと思っています。

 というところで、AFINIAでの出力もそろそろ終わりそうです。今回はこれにて。

Profile

水野 操(みずの みさお)

1967年生まれ。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。マルチ・ディメンション合同会社社長。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わったほか、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開しているほか、マーケティングやIT導入のコンサルティングを行っている。著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。



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