「ぶつからない車」や電気自動車・燃料電池自動車をめぐる開発競争。自動車業界では業界経験者以外の採用も活発：分野別 転職市場状況

自動車業界 の状況と転職のポイント

　日本国内では急激な円高が一段落したことで、輸出競争力が戻ってきているものの、今後の為替リスクやコスト対策から、完成車メーカーによる消費地での現地生産の流れが引き続き活発です。そのためグローバルに活躍できるエンジニアの募集が堅調です。

　また、「ぶつからない車」に代表される次世代開発と、ハイブリットの次の主役と注目される電気自動車（EV）、燃料電池自動車（FCV）については開発競争が行われており、自動車業界経験者以外の採用も活発です。

　完成車メーカーが世界の各地域に向けて新車を効率よく開発するために、サプライヤーに対しては部品のモジュール化を強く推し進めており、異なる分野の技術を持つサプライヤーが協力して「ブラックボックス化」されたメカトロ製品開発にシフトしてきているため、メカとエレを融合させる制御技術を持つエンジニアの採用が活発です。

　なお、従来の系列による結び付きがますます弱くなってきており、サプライヤーも生き残りをかけて、系列外や海外の完成車メーカーに積極的に接触するなど、完成車メーカーど同様にグローバルに活躍できる人材が求められています。

組み込みソフト分野 の状況と転職のポイント

　組み込み分野では、引き続き、大手メーカーを中心に、コア技術を持つベンチャーまで、求人の裾野は引き続き拡張傾向にありますが、同時に採用側の求めるスキルの細分化も進み、採用基準は高くなっていると言えるでしょう。

　業界別にみると、やはり業績が堅調な自動車業界の採用が活発で、バッテリーコントロール・車載センサーカメラ・通信・ECU制御など、安全・環境基準の強化に伴った対応が急務となっています。特に予防安全・自動運転を中心に新規開発への人材投入が急がれ、異業界出身のエンジニアにもチャンスが広がっています。

　要素技術としては、業界を横断して、従来の画像処理、信号処理、通信、リアルタイム制御に関わるニーズは高く、加えて、トレンドのクライアントサーバシステム、データマイニング、スマ−トフォン連携など機能・技術の導入が新たに自動車、産業装置を中心に広がっており、新規機能の導入や新製品開発において、要素技術を軸とした、業界横断での人材の受け入れが活発化しています。

　また、自動車業界を中心に、新規部品・モジュールの製品化に伴い、新しい生産設備の導入や設備への新機能追加も必要となっており、自社設備開発エンジニアのニーズや、それにひもづいた一部産業装置メーカーでも、画像処理検査装置や分析装置、計測機器に関わる求人のニーズは引き続き好調です。

医療機器業界 の状況と転職のポイント

　医療機器分野の求人動向は、超音波機器や放射線医療機器、歯科機器などの設計業務やカテーテルや特殊針などの生産技術業務で募集が増えています。フィールドエンジニア業務の求人では、業界経験者がもともと少ないこともあり、未経験でのチャレンジが可能です。業界および職種が異なる設計・開発・生産技術の方が、これからも安定性や成長性、やりがいに共感されて、ご転身されています。

　医療機器分野では、海外製品が強い製品分野が多く、外資系企業の求人も多くございます。英語に関しては、各会社様ごとに基準が異なりますが、お客さまは国内の病院となりますので、前向きに取り組む姿勢があれば、クリアできるケースが散見されます。

　また、大型の先端医療機器の導入に関する、プロジェクトマネジメント職の求人へは建築設備やプラントエンジニアリング業界出身者がご転身されています。客先や外注管理、工程管理のご経験が異業界でも十分に活かせるようです。

プロフィール

河辺 真典（かわべ まさのり）

株式会社メイテックネクスト コンサルタント 統括マネージャー。

元生産技術のエンジニアとして5年勤務し、前職リクルートエージェントでエンジニアの転職紹介を8年経験した後、メイテックネクストでエンジニアの皆さまのさらなる転身のためにサポートしております。

エンジニアの皆さまの今までのご経験とご希望、それに時間軸を加えた3軸で、皆さまの転職を分析し解きほどいていきますと、今まで混沌としていた転職も、おのずと方向が見えてきます。

面談ブースで皆さまとお話しさせていただくことによって、そういったお話しを見い出せたらなと思い、日々仕事をしています。

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