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» 2014年01月15日 10時00分 公開

製造マネジメントインタビュー:GEが100年にわたりイノベーションを生み続けられる秘訣とは (2/4)

[三島一孝,MONOist]

ビジネスゴールが明確でない技術は単なるアイデア

MONOist 日系企業では技術の棚卸ができておらず、結果として外部との技術協力がうまくできないケースが多いというような話も聞きます。

浅倉氏 最も大切なことはゴールを明確に示すことだ。マーケットニーズとして「こういうものが欲しい」というものが明確に分かっている時にはやるべきことは限られている。

 例えば、ジェットエンジンを作るとする。まずそれに必要なテクノロジーが何なのかを見る。そして次にテクノロジーを達成するために何が必要なのかを考える。材料なのか、機械なのか、人なのか。それを実現するためには、多くの要素が必要になる。価格や、性能、機能、整備性など、その中で一番効果があるものを考えれば、順位を付けるのは難しくない。製品をターゲットにすれば、要求項目に従ってそれぞれの技術に優先順位を付けることは可能だ。

 ゴールが明確でないイノベーションはモノにならない。それは単なるアイデアだ。目的地があって初めてイノベーションができる。GEではずっとそういうコンセプトでやってきている。

 グローバルリサーチセンターでは「この技術はどのビジネスに関連しているのか」「その部門はこの技術を後押ししているのか」ということは研究者に常に問われる質問である。そこで実際に事業部門がその技術を求めていなければ、その研究は見直しになる。「どんな優れた技術でもビジネスにリンクしていなければ必要ない」という考え方だ。GEでは、それくらい研究内容に対して、最終的なビジネスゴールに対するストーリーとリンケージを重視している。

必要なのはビジネス視点

MONOist 日系企業では技術至上主義というか、技術単体で評価する傾向が見えます。

浅倉氏 一般的に研究開発でよく見掛けるのは「技術は面白いが、それでどうやってビジネスするの?」というものだ。研究開発におけるビジネス視点が圧倒的に欠けているように感じる。

 企業としての成り立ちの違いも影響していると思う。欧米企業は株主を満足させることを重要ミッションとして抱えている。株主に新たに投資をしてもらうにはどうするかということを追求しなければならない。そうすると常にビジネスを成長させないといけない。だから「そこに関係しない技術は必要ない」という話になる。

 それについては良い面も悪い面もあると思うが、GEについてはこういう徹底した姿勢が「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」の銘柄であり続け、「フォーチュン 500」で継続して上位にランクインを続けている原動力にもなっている。

シックスシグマによる評価指標CTQ

MONOist 足りない技術を社内で開発すべきなのか、それとも社外を使うべきなのかについてはどう判断するのですか。

浅倉氏 GEでは、常にCTQ(Critical To Quality)による合理的な判断を求められる。CTQとは、業務プロセス改善手法「シックスシグマ」における「経営成果に大きな影響を与える決定的な要因」のことだ(関連記事:例題で理解する「そもそもシックスシグマって何だっけ?」)。製品においては、価格や機能、信頼性など、市場や条件によってさまざまな要素がCTQとなり得る。

 要求品質を最初に考えて、それに対応する技術要素を取捨選択し「どのCTQをどの優先順位で満足させていくか」を決めていく。これがGEで行っている手法だ。これに基づいて、グローバルでのGEの利益がどのようなものになるか、を考えていくと「技術要因を中に求めるか、外に求めるか」の判断はそれほど難しいものではない。そういう明確な基準がGE内のあらゆる部門で定着していることが強みといえるかもしれない。

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