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» 2014年01月20日 10時00分 公開

小寺信良が見たモノづくりの現場(11):日本の“安定した基盤”がモノづくりに与える意味とは? (5/5)

[小寺信良,MONOist]
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社会基盤がしっかりした日本だからできること

 日本のモノづくりは、今復活のフェーズに入ってきている。中国の人件費がそれほど安くもなくなってきたことに加え、超円高の状態が解消され始めたことで、海外生産の経済的メリットが薄れてきた。さらには2011年に起こったタイの大洪水のように、そもそも国としての社会インフラの脆弱性が大きなリスクになることが認識された。

 もちろん日本でも、地震・台風といった自然災害は少なくない。ただ日本は、復興プロセスにおいても社会基盤がしっかりしている。政治的にも安定し、反日運動やテロの心配もない。そもそも情報インフラの発達により、日本全国どこでも、何が起こってるのかの把握に支障が出ることは少ない。

 つまり経済的理由さえクリアできれば、日本でモノを作るメリットは過去から一貫して失われていなかったのである。そして今現在、日本でのモノづくりを成功させている工場は、その経済的理由を、それぞれの事情にあった方法でクリアしたということだ。日本に暮らす消費者としても、日本でいいモノが作られ続け、それが日本をはじめ世界の人々の手に届くことを、誇らしく思う。

 過去には経済的理由から、国内生産を断念してファブレスになった企業も多いことだろう。もちろんベンチャーであれば、最初から自社工場を持つことは視野になく、3Dプリンタによる試作や、優秀な中国EMS企業により、モノづくりのセオリーは全く新しい時代を迎えつつある。

 そんな中で国内のモノづくりの現場である工場は、単に生産するというだけでなく、製造法の開発や改善といった、第2の製品開発拠点という意味合いを含むようになってきている。それが市場に対してリニアに反応できるスピード感へとつながっていることは、疑う余地はないだろう。

筆者紹介

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小寺信良(こでら のぶよし)

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

Twitterアカウントは@Nob_Kodera

近著:「USTREAMがメディアを変える」(ちくま新書)




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