BMWが将来技術を一挙公開、「Innovation Days 2014」に迫るBMW Innovation Days 2014リポート(3/3 ページ)

» 2014年03月06日 16時50分 公開
[川端由美/Alex Ostern(Kimura Office),MONOist]
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追い越しが楽になる自動運転技術も

 Daimler(ダイムラー)の「メルセデス・ベンツ」ブランドが、新型「Sクラス」で自動運転に近い高度運転支援システムを投入しているのに対し、これまでBMWはそういった高度運転支援システムの導入についてあまり積極的ではなかった。

 しかし今回のInnovation Daysでは、「Predictive Drivetrain Management」の第3世代システムを披露した。BMWは、2013年にカーナビゲーションシステムの位置情報や走行ルート情報と連動する第2世代システムを発表しているが、第3世代システムでは、車両の前後に搭載したレーダーやフロントカメラとも連動。車両周辺の状況に合わせてパワートレインを自動で制御し、高速道路での追い越しが容易に行えるというものだ。

 一般的に、追い越しを行う際には、先行車両との車間距離を見計らいながらアクセルを緩め、いったんシフトダウンしてエンジンブレーキを掛けて追い越しのための出力を確保する。そして、追い越し可能な距離まで近づいたら、アクセルを踏んで一気に追い抜く。

 第3世代システムは、フロントカメラと前方のレーダーで先行車両との距離を測定することにより、追い越しのためのシフトダウンを最適なタイミングで自動的に行ってくれる。また、車線変更する際には、斜め後ろなどの死角に位置する車両の有無を後方のレーダーで検知。死角に位置する車両の前に出るようにドライバーが車線変更する場合には、自動的にシフトダウンして出力を確保しておき、より安全に車線変更が行えるようにする。

「Predictive Drivetrain Management」の第3世代システムによる追い越し。先行車両の後ろに付いたら自動で7速から5速にシフトダウンして、エンジンブレーキを掛けて追い越しのための出力を確保。その後加速すれば容易に追い越せる(クリックで拡大) 出典:BMW


 今回のInnovation Daysからは、BMWがCO2排出量削減の流れを受けて、iシリーズのみならず、従来の車両ラインアップについても大きく電動化に舵を切り始めたことを感じた。同時に、内燃機関の開発にも余念がなく、1気筒当たり500ccを基本とする新エンジンシリーズではターボによる過給でダウンサイズを進めつつ、コモン・アーキテクチャを採用して生産の効率化も図り、熱マネジメントまで行って、内燃機関の効率を究極まで高める方針だ。

 さらに、レーザーライトのような未来を演出する技術で、「高効率化」を見た目でも感じてもらう努力もまた、BMWらしい未来像の提示に思えた。

筆者紹介

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川端由美(かわばた ゆみ)

自動車ジャーナリスト/環境ジャーナリスト。大学院で工学を修めた後、エンジニアとして就職。その後、自動車雑誌の編集部員を経て、現在はフリーランスの自動車ジャーナリストに。自動車の環境問題と新技術を中心に、技術者、女性、ジャーナリストとしてハイブリッドな目線を生かしたリポートを展開。カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の他、国土交通省の独立行政法人評価委員会委員や環境省の有識者委員も務める。



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