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» 2014年04月02日 10時00分 公開

モーションセンサーで組み込み機器はどう変わる?(5):Windows Embedded OSでモーションセンサーデバイスを活用する (2/3)

[茂出木裕也(東京エレクトロン デバイス),MONOist]

PCではなく、Windows Embeddedを選択する理由

 組み込み機器は、一般のPCよりも製品ライフサイクルが長く、特定バージョンのOSを使い続けたいといったニーズもあるため、Windows Embedded OSはリリースから15年間の長期供給を保証しています(図4)。

 また、Windows Embedded OSのメリットは、長期供給だけではありません。最大の特徴は、PC向けWindows OSには搭載されていない、組み込み機器向けの専用機能(EEF:Embedded Enabling Feature)を利用できる点にあります。組み込み機器向けの専用機能については、後ほど詳しく紹介します。

Windows Embedded製品のサポートと供給期間 図4 『Windows Embedded製品のサポートと供給期間』(出典:東京エレクトロン デバイス)

PC向けWindowsと互換性のあるWindows Embedded OS

 Windows Embedded OSには、多くの製品ファミリーがあります。ここでは、Kinectなどのモーションセンサーデバイスを実際に利用できる「Windows Embedded Enterprise」「Windows Embedded Standard」「Windows Embedded Industry/POSReady」に限定して紹介します。

 これらの製品ファミリーは、いずれもPC向けWindows OSがベースになっており、Windows OS用のアプリケーションやデバイスドライバをそのまま利用できます。つまり、KinectやPerC、LEAPといった各モーションセンサーデバイスのドライバやアプリケーションをWindows Embedded OS上でも動かせるのです(他にも、Windows Embedded製品ファミリーには「Windows Embedded Server」「Windows Embedded Compact」などがありますが、ここでは割愛します)。

 表1は、PC向けWindows OSがベースになっているWindows Embedded OSの一覧です。OSラインアップについては、厳密にはもう少し細かく分類できますが、ここでは分かりやすいように簡略化しています。

製品ファミリー 特徴 Windows Embedded OSラインアップ
Windows Embedded Enterprise バイナリレベルでPC向けWindows OSと同じ(フル機能) ・Windows 7 for Embedded Systems
・Windows 8.1 Pro
Windows Embedded Standard コンポーネント化されたWindows OS+組み込み機器向け専用機能 ・Windows Embedded Standard 7
・Windows Embedded 8 Standard
Windows Embedded Industry/POSReady PC向けWindows OS(フル機能)+組み込み機器向け専用機能 ・Windows Embedded POSReady 7
・Windows Embedded 8/8.1 Industry
表1 PC向けWindowsと互換性のあるWindows Embedded OS

PC向けとバイナリ互換のWindows Embedded Enterpriseファミリー

 Windows Embedded Enterpriseファミリーは、バイナリレベルでPC向けWindows OSと同じものです。組み込み機器向けライセンスが適用されるため供給期間が長く、既にPC向けの販売が終了しているような古いバージョンのOSライセンスも購入することができます。一般的なPC向けのOSライセンスと比べて価格も安く抑えられています。

 マイクロソフトから提供される「OPK(OEM Preinstallation Kit)」というインストールディスクでマスターOSイメージを作成し、組み込み機器にOSイメージをインストールします。

 組み込み機器としての特定用途に限定されるため、市販されているPCのようにオフィスでの事務用途(汎用作業)などには使えません。

細かなカスタマイズが可能なWindows Embedded Standardファミリー

 Windows Embedded Standardファミリーは、専用の開発ツールを使って組み込み機器用のカスタムOSを作成できます。Windowsの豊富な機能がコンポーネント(部品)化され、その中から必要な機能(部品)のみを選択してOSイメージを構築します。例えば、不要な機能を削減したサイズの小さなOSイメージや、組み込み機器に必要な機能だけを搭載した独自のOSイメージを作れます。

 OSイメージの開発作業が発生する分、他のWindows Embeddedと比べて開発コストが掛かります。

 図5〜8は、Windows Embedded StandardファミリーのOS開発ツールの画面です。画面左にコンポーネントの一覧があり、ここからOSイメージに搭載したいコンポーネントを選択していきます。「カスタムOSを開発する」と聞くとハードルが高く感じられるかもしれませんが、実際にはプログラミングすることなく簡単にOSイメージを構築できます。

Windows Embedded Standard 7のOS開発ツールWindows Embedded 8 StandardのOS開発ツール 図5(左) Windows Embedded Standard 7のOS開発ツール/図6(右) Windows Embedded 8 StandardのOS開発ツール ※画像クリックで拡大表示

Windows Embedded 8 Standardで作成したOSイメージシステム情報 図7(左) Windows Embedded 8 Standardで作成したOSイメージ/図8(右) コンピュータの基本的な情報の表示 ※画像クリックで拡大表示 ※画像クリックで拡大表示

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