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» 2014年04月02日 10時00分 公開

モーションセンサーで組み込み機器はどう変わる?(5):Windows Embedded OSでモーションセンサーデバイスを活用する (3/3)

[茂出木裕也(東京エレクトロン デバイス),MONOist]
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組み込み機器向け専用機能とは?

 Windows Embedded Standardでは、組み込み機器向けの専用機能であるEEFを利用できます(図9)。ここでは、その機能の一例を紹介します(実際に利用できる機能は、OSの種類によって異なります)。

 組み込み機器向けの専用機能を利用することで、例えば「OSをシャットダウンせずに電源を落とす」「電源ONからの高速起動を実現する」「起動時のロゴや画面イメージをカスタマイズする」など、専用装置として最適な状態で運用できます。


組み込み機器向け専用機能の一例 図9 組み込み機器向け専用機能の一例

 「ブランディング」には、Windowsが搭載されていることをユーザーに意識させない(マスクする)ような機能が用意されます。起動時のロゴやログオン画面の変更の他、Windows標準のエクスプローラーシェルを独自のアプリケーションに置き換えるなど、オリジナルの製品展開に役立つ機能が含まれます(図10)。

Windows Embedded 8 Standardのブランディング機能 図10 Windows Embedded 8 Standardのブランディング機能

 「ロックダウン」には、ユーザーによる操作を抑制する機能の他、Windowsのエラーダイアログやメッセージボックスを画面上に表示しないようにする機能などが含まれます(図11)。

Windows Embedded 8 Standardのロックダウン機能 図11 Windows Embedded 8 Standardのロックダウン機能

フル機能のWindowsにEEFを搭載するWindows Embedded Industry/POSReadyファミリー

 Windows Embedded Industry/POSReadyファミリーは、フル機能のWindowsに組み込み機器向け専用機能を搭載できます。

 Enterpriseファミリーと同じように、OPKでマスターOSイメージを作成します。Standardファミリーのように細かなOSのカスタマイズはできませんが、開発コストを抑えつつ、組み込み機器向け専用機能を搭載したOSイメージを構築できます(図12)。

Windows Embedded 8.1 Industryで作成したOSイメージ 図12 Windows Embedded 8.1 Industryで作成したOSイメージ

補足:

Windows Embedded Industry/POSReadyのライセンスは、POS、ATM、デジタルサイネージなどの組み込み機器に限定されます。しかし、OSやライセンスの種類によって違いがあるので、詳細はWindows Embedded販売代理店にお問い合わせください。



Windows Embedded OSを選択する際の注意事項

 ここまでの内容で、Windows Embedded OSでも、KinectやPerC、LEAPなどのモーションセンサーデバイスを利用できることがお分かりいただけたでしょうか。

 Windows Embedded Enterpriseファミリー、Windows Embedded Industry/POSReadyファミリーは、Windowsのフル機能を搭載するため特に問題はありませんが、Windows Embedded Standardファミリーは、コンポーネント単位で機能を選択できるOSであるため、Kinectが必要なコンポーネントがOSイメージに組み込まれていないと、Kinectのドライバがインストールできない、アプリが正常に動作しないといった問題が発生する可能性があります。

 この問題を解決するには、OSイメージの構築時にKinectの動作に必要なコンポーネントを適切に指定する必要があります。Windows Embedded Standardファミリーの開発ツールにはKinectのテンプレートが用意されていますので、このテンプレートを追加するだけでKinectの動作に必要なコンポーネント一式が自動的にOS構成に追加されます(図13)。

Kinectテンプレート 図13 Windows Embedded Standard用のKinectテンプレート(左:Embedded Standard 7/右:Embedded 8 Standard) ※画像クリックで拡大表示

 ちなみに、Windows Embedded OS搭載の組み込みPCは、各メーカーの機種によってOSに搭載されているコンポーネントの種類が異なります。購入を検討される際は、事前に内容を確認した上で購入することをオススメします。



 今回は、組み込み機器でモーションセンサーデバイスを活用する際の最適なプラットフォームとしてWindows Embedded OSを紹介しました。

 筆者がモーションセンサー関連のイベントやセミナーで講演すると、「Kinectは知っているけど、Windows Embedded OSは知らなかった」という声をよく聞きます。もしかすると、本稿でWindows Embeddedの存在を初めて知ったという方もいらっしゃるかもしれませんが、PCだけでなく、組み込み機器でもモーションセンサーのような先進的なデバイスを活用できるということをぜひ覚えておいてください。

 本連載の執筆中にも、新しいモーションセンサーデバイスが続々と登場してきました。今後は、より小型化・モジュール化されたモーションセンサーデバイスが、PCやスマートデバイスへ標準搭載されると考えられます。組み込み向けのデバイスとしてまだ課題はあるものの、今後コンシューマ市場での採用が進んでいけば、組み込み機器でのモーションセンサー活用も拡大していくことでしょう。

 さて、本連載は以上で最終回となります。これまで紹介してきた、NUI(Natural User Interface)やモーションセンサーデバイスの基礎、組み込みシステムでの活用事例などの情報が、少しでも皆さまの参考になれば幸いです(連載完)。

筆者紹介:

茂出木裕也(もでき ゆうや)

東京エレクトロン デバイス エンベデッドソリューション部
フィールドアプリケーションエンジニア


山形県出身。Microsoft Windows Embedded MVP(Most Valuable Professional)アワード受賞者。x86アーキテクチャ・ファームウェア開発(BIOS)のプログラマー職を経て、現在はWindows Embedded OSの技術サポートに従事。組み込み業界でのKinectの可能性にも注目し、各種イベントやセミナーではスピーカーを務める。



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