“日本人の匠の技”が生きるCT装置、GEが発売2014国際医用画像総合展(ITEM 2014)

GEヘルスケア・ジャパンは、新CT「Revolution CT」を発売した。画質の高さ、測定スピードの速さ、撮影範囲の広さを全て備えたCTとうたっている。その鍵になっているのがコリメーターだ。非常に精密な機器で、「日本人の匠の技が生きている」と強調する。

» 2014年04月18日 10時15分 公開
[村尾麻悠子,MONOist/EE Times Japan]

 GEヘルスケア・ジャパンは「2014国際医用画像総合展(ITEM 2014)」(2014年4月11〜13日、パシフィコ横浜)において、ハイエンド向けのCT「Revolution CT」を発売した*)

*)販売名称は「全身用X線CT診断装置マルチスライスCTスキャナ Revolution」

 CTには「高い分解能(高画質)」「高速な測定スピード」「広い撮影範囲(カバレージ)」が求められるが、従来のCTではこれら3つの要素がトレードオフになっていた。スピードを犠牲にして分解能を訴求するか、分解能を犠牲にして撮影範囲を求めるか、といった具合である。GEヘルスケア・ジャパンは、「Revolution CTは、ハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズムの全てを新たに開発し、3つの要素を全て実現した」と話す。その鍵となっているのが、「3Dコリメーター」だ。

「ITEM 2014」で展示した「Revolution CT」の模型(クリックで拡大)

日本人の“匠の技”が生きる3Dコリメーター

 CTのX線は、人体を通過したときに散乱する。この散乱線によって画像にノイズ(アーチファクト)が発生してしまう。散乱線をできるだけ取り除いて検出器に通し、画像の劣化を防ぐのがコリメーターだ。

 コリメーターには、X線を通すプレートが配置されている。Revolution CTのために新たに開発されたコリメーターでは、プレートがX軸、Y軸、Z軸の全ての方向においてX線の線源を向いている。このため同社はこのコリメーターを「3Dコリメーター」と呼ぶ。プレートの数が多く、X線の進行方向に沿って正しく配置されているほど散乱線を取り除くことができるが、新しい3Dコリメーターは、幅50cmほどの本体に128枚のプレートを2mm±0.02mmの精度で並べられている。これによって、従来機種の50%まで散乱線を抑えることに成功した。GEヘルスケア・ジャパンは、「プレートを2mm±0.02mmという精度で並べるようなコリメーターの設計と製造は、日本人にしかできない。3Dコリメーターは当社の日野工場でしか作っておらず、“日本人の匠の技”が生きている機構だ」と強調する。

赤枠で囲んだ部分が「3Dコリメーター」(左)。右はプレート部分の拡大図。右端の方に配置されているプレートが、線源を向くようにわずかに左に傾斜しているのが分かる(クリックで拡大)

 さらに、Revolution CTの検出器は16cmのカバレージを実現し、ガントリは0.2s/rotの回転速度を達成している。GEヘルスケア・ジャパンは、「Revolution CTにより、動きが激しく画像診断が難しい心臓の撮影も可能になる」と話す。これによって、心拍数を抑える薬剤(βブロッカー)が不要になることが期待されている。

 GEヘルスケア・ジャパンによると、日本国内のCT市場では、ハイエンドCTが全体の20%を占めるという。Revolution CTの初年国内販売目標は30台となっている。想定価格は1台3億円。

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