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» 2014年04月25日 10時00分 公開

山浦恒央の“くみこみ”な話(62):必読3つの当たり前 〜オフショア開発とご近所付き合い〜 (3/3)

[山浦恒央 東海大学 大学院 組込み技術研究科 准教授(工学博士),MONOist]
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オフショア開発の「当たり前マナー」

 外国人が現地特有のマナーに慣れるためには、ある程度の期間を要します。現地の人間は当たり前なので全く気になりませんが、外国人から見たら異質です。

 本シリーズの第3回「海外のソフトウェア技術者が『阿吽の呼吸』を体得するには」では、外国人が違う文化を受け入れる過程を紹介しました。外国人が違う文化を受け入れることは簡単ではありません。留学生の話を聞くと、「アニメやドラマで、日本はとてもいい国だと思っていた。でも、現実は全く違う。早く帰国したい」と言っていました。海外留学や駐在の経験があれば分かると思いますが、最初は新しい環境への期待感(満足度)は高いものの、徐々にその国の文化に適応できず悩むようになります。最悪の場合、鬱(うつ)に発展するケースもあるようです。

 日本の開発現場でも、海外のエンジニアが苦労している姿を何度も見ました。外国人が異文化に慣れるまでにはかなり時間がかかります。留学生を見ていると、3〜4年はかかると筆者は考えます。日本で外国人と一緒にソフトウェアを開発する際には、悩みごとを積極的に聞きましょう。

 一方、海外で開発する場合、いきなり日本で使うドキュメントのフォーマットの英訳版を送付して「これを使え」と言うのではなく、なぜ、そんな書類を作らねばならないかを理解してもらい、具体的な記入例を示して作成してもらいましょう。

当たり前の言語

 上記以外の課題として、オフショア開発でエンジニアの1番の悩みが言語の問題です。外国語(英語)の能力は、外国人とやりとりをする上で必須です。特に、メールではさまざまな単語を用いて、発注側と技術的なコミュニケーションを取ったり、駆け引きをしたりします。ソフトウェアは建築物の開発とは違って完成度が目に見えないので、日本側のプロジェクトマネジャーは、受注側からしっかり納期通りに成果物が出てくるか、非常に心配になります。

 海外の人とやりとりをする際には、「問題ありません」「大体60%です」ではなく、「5月3日に、Aモジュールが完成します」など、相手側からできるだけ定量的で具体的な数値を回答させるとよいでしょう。進行リポートのフォーマットを相手に送付することも効果が期待できます。



 このシリーズではオフショア開発の主要な問題点を取り上げていきました。オフショア開発の最大の問題は、「開発文化の違いを理解すること」です。自宅の近くのご近所さんでさえ文化の違いに悩まされるのですから、海外のエンジニアとやりとりするのは、本当に大変であることが分かります。オフショア開発は、経験豊富で優秀な人材を安く獲得できますが、相手に自分たちの意図通りのソフトウェアを作ってもらうことは決して簡単ではありません。ここで取り上げた内容を参考にして、オフショア開発をぜひ成功に導いてください。(次回に続く)


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