東芝が野菜作りに参入、元フロッピーディスク工場でレタスなどを生産製造マネジメントニュース

東芝が野菜ビジネスに参入することを発表した。神奈川県横須賀市のクリーンルームを再利用し、レタスやベビーリーフ、ホウレンソウ、ミズナなどを栽培し、販売する。2015年3月期上期中に出荷開始し、年間3億円の売上高を見込む。

» 2014年05月15日 16時30分 公開
[MONOist]
東芝

 東芝は2014年5月15日、同社の植物工場で生産した野菜を販売する野菜ビジネスに参入することを発表した。神奈川県横須賀市の遊休設備をレタス、ベビーリーフ、ホウレンソウ、ミズナなどを栽培する植物工場に転用する。2015年3月期(2014年度)上期中に出荷開始し、年間3億円の売上高を見込む。

 同社では「エネルギー」「ストレージ」に続く3本目の柱となる事業として「ヘルスケア」事業への取り組みを強化。CTシステムなどの画像診断装置を中心とする「診断・治療」分野に加え、食、水、空気などの生活環境を整備する健康増進分野へも注力も進めている。この「食」分野への取り組みの一環として、今回植物工場および野菜ビジネスの事業化を決めた。

 神奈川県横須賀市で1994年までフロッピーディスクを生産していた同社所有の建屋を転用し、完全閉鎖型の植物工場に転用する工事を開始したという。

 施設は、フロッピーディスクを生産していたクリーンルームを再利用し、植物育成向けに光の波長を最適化した蛍光灯、均一な温度・湿度の環境を実現する空調機器、栽培状況を把握するための遠隔監視システム、梱包材などを消毒する除菌システム、半導体事業で培った生産管理技術などを活用するという。

東芝の植物工場のイメージ図 東芝の植物工場のイメージ図

 建屋は4階建てで、延べ床面積は1969m2。リーフレタス、ベビーリーフ、ホウレンソウ、ミズナ、スプラウトなどを生産する予定だという。生産規模は年産300万株(レタス換算)を想定しており、1日約8000株の生産量となる。

 出荷される野菜は菌の侵入を制限したクリーンルームで育成されることから、付着する雑菌数土壌野菜に比べ1000分の1程度に抑えることが可能。そのため長期保存が可能である点が特徴だ。そのため同社では、スーパーやコンビニエンスストアのカット野菜やサラダ用などをターゲットとし、販路拡大を進めていく方針だという。

 同事業を推進するのは東芝内に設置された「新規事業開発室」で、事業が本格化した際には総人員は10人程度になるという。また植物工場の建設や運営に関しては、AgriScience(長野県小諸市)の協力を受けているという。

 今後、2014年度中には海外に新たに大規模な植物工場を建設するとともに、植物工場向け機器やシステムの販売を開始する計画。野菜ビジネスとともに植物工場関連ビジネスの拡大を進めていく方針だ。

 製造業ではここ最近、国内の遊休設備を使った植物工場ビジネスへの参入が相次いでいる。富士通が2014年5月から低カリウムレタスの出荷を開始した(関連記事:富士通産レタスが出荷開始! ――半導体クリーンルームで生産)他、パナソニックなどもパッシブハウス型農業プラントなどを展開(関連記事:パナソニックが農業へ! 新規事業「アグリ・エンジニアリング」に参入)するなど、動きが活発化している。


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