「下町ボブスレー」、新体制でピョンチャン冬季五輪を見据えた活動クール・ランニング!(旅に幸あれ)

「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクトは、2016年秋までに、女子2人乗り用の4号機の製作を進める。既に保有している1〜3号機の走行テストを重ねて改良しながら、性能や特性について検証・解析し、開発するという。

» 2014年06月05日 17時55分 公開
[小林由美,MONOist]

 「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト(以下、下町ボブスレー)は2014年6月4日、記者発表会を開催し、2018年開催のピョンチャン冬季五輪に向けた活動方針について説明した。

 同プロジェクトは、「大田区を中心とした参加企業とボブスレー界の進捗発展に貢献すること」を目的としている。2012年1月の発足以来、大田区内の製造業が中心となり、2014年のソチ冬季五輪に出場する日本代表チームに国産ソリを提供することを目指してソリ開発を進めてきた。2013年11月に日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟から機体の不採用通知があり、十分な改修をするには時間不足ということでソチ五輪は見送り、次期五輪を視野に入れた計画となった。

下町ボブスレーの3号機

 2016年秋までに、女子2人乗り用の4号機の製作を進めるという。スポンサーに協力をあおぎ、資金が集まってきたところで、男子4人乗り用のソリ開発も計画するとのことだ。また今回は、出場するだけではなく、上位入賞も目指そうということで、東京都連盟(仮称は、「東京ボブスレー・スケルトン連盟」)を設立し、ソリ開発だけではなく、選手発掘・育成にも取り組む。

 同プロジェクトの組織は新体制となり、委員長は精密部品加工メーカーのマテリアル 代表取締役の細貝淳一氏から、試験片開発を手掛けるメーカーの昭和製作所 代表取締役社長 舟久保利和氏に交代した。副委員長には精密加工メーカー エース 代表取締役の西村修氏、東京都連盟会長には産業用コンピュータ制御機器メーカー フルハートジャパン 代表取締役の國廣愛彦氏が就任。細貝氏は、ゼネラルマネージャー兼広報委員長となる。

2代目委員長に就任した昭和製作所 代表取締役社長 舟久保利和氏

 4号機については、既に保有している1〜3号機の走行テストを重ねて改良しながら、性能や特性を検証・解析し、ソリに乗る選手たちの意見を取り入れながら開発するという。サスペンションのセッティングやフレーム構造、ランナーなどの組み合わせをできるかぎり多数検証していく。2014年秋には欧州遠征を計画しており、そこでも走行テストを実施するとのことだ。

 「現在は4号機設計に向けた解析をしている。(ボブスレー国際大会の)ドイツ元代表のハルトルさん(レオンハルド ザングトヨハンサー氏)に1〜3号機に乗っていただき、東京航空計器の協力の下、データロガー(超小型モーションセンサーユニット)をソリに取り付け、滑走中の加速度などを計測・記録した。その結果から、サスペンションや重心に関する考え方が、われわれと海外とで異なっていることが分かった。剛性の強さがかえってアダになることも感じている。大幅に変えるのは、重量バランス。これまでサスペンション部にゴムを使うケースが多かったが、そこに金属をかますだけでも前重心となり、ハンドリング性能が良くなることが計測データから分かっている。2号機と3号機の空力性能は、1号機より若干劣っている。写真から空力測定をする技術を使って現在“世界最強”といわれているソリを分析し、それと近い性能が出せるよう設計を進める」(細貝氏)。

元委員長のマテリアル 代表取締役の細貝淳一氏

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