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» 2014年06月12日 12時13分 公開

ロボット開発の分業化・効率化を目指す:ソフトバンクのロボット事業、本命は「Pepper」ではなく「V-Sido OS」か!? (3/4)

[八木沢篤,MONOist]

ロボット開発競争に勝つための選択肢

 アスラテックはロボット市場をどのように捉えているのか。吉崎氏は、ここ最近の国内外におけるロボット業界のトピックに触れ、「販売市場はまだこれからかもしれないが、少なくともロボット開発競争は世界的に激化し始めている」と述べる。

 実際に、IT/ベンチャー企業などの新規参入が増えつつあるわけだが、「その一方で、1つの組織だけでロボットのハードウェアからソフトウェアまでを全て開発できる企業は非常に少ない」(吉崎氏)と指摘。アスラテックとしては、こうした人たちに役立つツールとして、V-Sido OSを展開していきたい考えだ。「例えば、サーボモータなどを手掛けてきたような企業はAIや制御のノウハウが必要だし、iPhoneアプリを開発してきたIT企業などはサーボモータや油圧、センサーなどの知識が必要となる。V-Sido OSは知能と機械をつなぐソフトウェアであるため、既存のAIやサーボモータを持ってくるだけで容易にロボット開発が始められる」と吉崎氏。


PCの開発体制ロボットの開発体制 (左)PCの開発体制/(右)ロボットの開発体制 ※画像クリックで拡大表示

 現状のロボット開発は、PCの開発のように、CPUメーカー、メモリメーカー、ディスプレイメーカー、ソフトウェアメーカーなどの分業体制がまだない。また、ロボットの場合、AIやサーボモータを新規に開発しても、“それが全てのロボットで動かせる”という標準化が進んでいない。こうした現状に対し、アスラテックはV-Sido OSを知能と機械の橋渡し役とした、ロボット開発の分業化・効率化を実現したい考えだ。

ロボット開発の分業化・効率化 ロボット開発の分業化・効率化

ロボット開発のモジュール化が“進化”を加速させる

 こうしたロボット開発の分業化・効率化が、ロボットの進化をより加速させるとし、アスラテックはV-Sido OSの普及に向け、その一部機能を実装した評価基板としてV-Sido CONNECTを開発した。

吉崎氏 「V-Sido CONNECT」を手にする吉崎氏

 V-Sido CONNECTは、32ビットのARMコア搭載CPUを採用するマイコンボードで、基板サイズは36×33mm。インタフェースとして、RS-485、RS-232C、I2Cといった標準規格に対応し、市販の通信モジュールやセンサー基板などを利用できる。アスラテックは、ロボット開発に参入したい幅広い分野や企業、一般ユーザーに対し、この基板を販売する予定だ。販売時期は年内を予定し、1万円を切るくらいの価格になるという(関連記事:ホビーロボから巨大ロボまで――ロボットの簡単制御を実現する「V-Sido CONNECT」)。

 このV-Sido CONNECTを製造企業、IT企業、教育機関、研究所、個人などに幅広く評価してもらい、さまざまなロボット開発への展開を狙う。そして、V-Sido OS自体はロボット開発メーカーなどと組みながらライセンス供給していく考えで、一般販売は予定していないという。

V-Sidoの提供方法 V-Sidoの提供方法

 また、Pepperの発表の際に話題となったロボットとクラウドとの連携(外脳としての利用)だが、「V-Sido OSそのものが1つのWebサーバのような働きをしているので、最初からプロトコルがオープンになっている。WindowsからでもAndroidからでも動かせ、既存のクラウドサービスや(今後出てくるであろう)ロボット専用のクラウドサービスとの連携も容易に行える」と吉崎氏。

さまざまな企業と連携も

 既にアスラテックは、V-Sido OSの普及・発展に向け、さまざまな企業との連携を進めている。その1つがサーボモータの対応だ。発表会では、ROBOTIS、双葉電子工業、日本電産、近藤科学の4社の名前が挙がったが、「この4社にとどまらず、今後、積極的にさまざまなサーボモータに対応していく」と吉崎氏。ちなみに、ROBOTISと双葉電子工業に関しては全シリーズ対応済みで、日本電産と近藤科学については鋭意対応作業中とのことだ。

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