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» 2014年07月16日 10時00分 公開

レイコ先生の「明日から使える! コミュニケーションスキル」(5):みんなで考えれば恐くない! アイデアを生み出すブレインストーミング(その1) (3/3)

[小山新太/MPA所属 中小企業診断士,MONOist]
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ブレストの進める6つのステップ

 参加メンバーとテーマが決まったら、早速メンバーを招集してブレストを始めてみましょう。アイデアをどんどん広げて拡散していくイメージです。

 具体的な手順は以下のような6つのステップになります。

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(1)4つのルールとテーマをホワイトボードに書く

 4つのルールとブレストを行うテーマを説明しながらホワイトボードに書いていきます。ホワイトボードがないときは、4つのルールとテーマを書いた資料をプリントアウトして配る形でもいいでしょう。ポイントは4つのルールとテーマを「見える化」し、メンバーへの意識付けを強化することです。特に、4つのルールについては、ブレストが初めてのメンバーはすぐに忘れてしまうことが多いので、ブレストの最中に常に目のつくところに記すようにしましょう。

(2)制限時間と目標を伝える

 ブレストを進めていく上で時間管理は重要ですので、最初のアイデア出しに使う時間はしっかりとメンバーに伝えるようにします。テーマやメンバーのブレストへの慣れ具合によって適切な時間は変わりますが30分ぐらいを目安にするといいでしょう。目標とは、制限時間内に何個のアイデアを出すかということです。「たくさんアイデアを出しましょう!」という漠然としたゴールよりも「30分間でアイデアを50個出しましょう!」とゴールを明確にした方が、メンバーの集中力は増します。目標と制限時間を設けることで、ゲーム感覚で楽しみながらブレストを進めることができるようになるのです。

(3)アイデアをどんどん発言してもらう

 いざ、始めてみてアイデアがどんどん出てくればいいのですが、そう上手くいかないことの方が多いでしょう。特に、メンバーがブレストに慣れていないと、一般的は会議の意識が抜けずに「良いことを言わないといけない」という心理状態になっています。そんなときは、4つのルールの意味をもう1度伝えたり、主催者自身がとっぴなアイデアを出すことで、アイデアを言いやすい雰囲気を作り出していきましょう。ブレストの質は、その場の雰囲気に左右されることが多いので、いかにアイデアが言いやすい高揚した雰囲気を作れるかが、主催者の腕の見せ所です。いくらアイデアが出ないからといって「それでは順番にアイデアを言ってください」といった指示命令的なアプローチを行ってはいけません。自由闊達に発言ができる雰囲気を作ることを心掛けましょう。

(4)アイデアを書き出し、ホワイトボードに張る

 ブレストの中で出たアイデアをポストイットなどの付箋に書き、ホワイトボードに貼っていきます。ここで、アイデアを書き出す意味は、アイデアを発言者から切り離すことにあります。ブレストでは、「誰のアイデア」ではなく「アイデアそのもの」を見るようにしなければなりません。しかし、発言者と発言内容(アイデア)を切り離して認知するのは難しいものです。例えば、「会議の席で目の上の役職者の意見に批判的な質問をしたら、相手は自分自身を否定されたと勘違いして、その後対応がきつくなった」なんて話が、よくあるのもそのためです。ブレストの参加メンバー内にも役職の違いなど社内の力関係がありますので、発言者とアイデアを切り離すことができないと、アイデアを膨らませる(便乗する)ときに、「田中部長のアイデアだからいじるのはやめておこう」といった心理が働くようになってしまいます。そうならないためにも「アイデアを書き出し」、発言者とアイデアを物理的に切り離すことで、メンバーがアイデア自体を直視できる環境を整えましょう。

(5)便乗できるアイデアがないか考える

 制限時間となりアイデア出しをストップしたら、それまで出たアイデアで便乗できるアイデアがないかを考えていきます。「便乗する」というとイメージがつきにくいかもしれませんが、あるアイデアに別アイデアをくっつけてみたり、あるアイデアを分けたりして、さらなるアイデアを生み出していくということです。便乗する際のポイントとしては、「アイデアを言い換える」ということを意識するといいでしょう。例えば、以下のようなアイデアをあったとします。

製品の使い方をもっと理解してもらうために東京でセミナーを行う

 このアイデアの「東京でセミナーを行う」といった部分を言い換えることができないかを考えてみます。すると、以下のような新たなアイデアが出てきます。

製品の使い方をもっと理解してもらうために全国各地でセミナーを行う

製品の使い方をもっと理解してもらうために動画を作る

製品の使い方をもっと理解してもらうためにマンガを作る

製品の使い方をもっと理解してもらうために検定テストを作る

 ブレストの参加メンバーには、0から1を生み出すような「アイデアを出す」のが得意な人もいれば、1を3や4にするような「アイデアを言い換える」のが得意な人もいます。そのため、この便乗のタイミングでアイデアが一気に拡散することもあります。アイデア出しが終わったら一安心ではなく、さらにスピードを加速するイメージで「便乗」を行っていきましょう。また、「便乗」を進める中で言い換えがまったく行われないアイデアも出てきます。ブレストでは批判はしませんので、そのアイデアの完全に切り捨てるということはしませんが、便乗のステップで自然と有望なアイデアと見込みがないアイデアとが見えてくるようになります。

(6)アイデアを整理する

 アイデアを出し尽くしたらそれで終了というわけにはいきません。ブレストでは、アイデアがどんどん拡散していきますので、アイデアが出尽くした後は、ホワイトボード上にアイデアが散乱した状態になります。そのままの状態で終わってしまうと、いざ、主催者がアイデアの取捨選択を行おうと思ったときに苦労します。そのため、最後の仕上げとしてアイデアを整理する必要があります。

 具体的な整理の仕方は、ホワイトボード上に貼ってあるアイデア(ポストイット)のうち「似たもの同士」のアイデアを物理的に動かし近くに集合させていきます。そうすることで、アイデアをいくつかのグループに分けることできます。例えば、エンジニア向けの書籍の企画についてブレストして、以下のようなアイデアが出たとします。

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 これら9つのアイデアは、「キャリア」、「コミュニケーションスキル」、「財テク」といった感じに3つのグループに整理できます。このように整理しておくことで、主催者は方向性として、どの切り口が良いか判断できるようになります。

 今回は、集団でアイデアを考える方法として「ブレインストーミング」について解説しました。アイデアを考える=才能と思われがちですが、そんなことはありません。もちろん、才能あふれるアイデアパーソンもいますが、どんなアイデアパーソンでも一人で考えつくことには限界があります。その限界を超える方法は「みんなで考える」ことです。一人で頭を抱えて悩むのではなく、ブレインストーミングを活用して、どんどん新たなアイデアを生み出していきましょう。次回はブレインストーミングを実践する上で堕ちりやすい失敗例とその対応方法について解説します。

参考文献

  • 「発想法入門」(星野匡 著、日経文庫)
  • 「アイディア会議」(加藤昌治 著、大和書房)

Profile

小山新太(こやまあらた)

MPA所属 中小企業診断士。販売促進やマーケティング、コミュニケーションスキルを専門とし、中小企業支援やセミナー講師などを行っている。



MPAについて

「MPA」は総勢70人以上の中小企業診断士の集団です。MPAとは、Mission(使命感を持って)・Passion(情熱的に)・Action(行動する)の頭文字を取ったもので、理念をそのまま名称にしています。「中小零細企業を元気にする!」という強い使命感を持ったメンバーが、中小零細企業とその社長、社員のために情熱を持って接し、しっかりコミュニケーションを取りながら実際に行動しています。

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