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» 2014年09月01日 08時00分 公開

現場革新 次の一手:ウェアラブル端末とモノのインターネットは「現場」の救世主となるか?【後編】 (2/4)

[志田穣/クニエ シニアマネージャー,MONOist]

IoTがウェアラブル端末を通じて人間と機械をつなぐ

 先ほどのGEやSAPの事例を見ても、実際にはウェアラブル端末の機能だけではなく、現場でのIoT環境を構築、活用することで可能性を広げていることに注目したい。例えば、機械や設備のような複雑なものを対象とする場合は、バーコードと関連づいた静的な情報よりも、最新の稼働状況のような動的な情報を入手したいはずだ。そのためには生産現場の機械(工作機械・ロボット)がインテリジェントな形でネットワークに接続していて、センサーなどで常時情報が収集されている必要がある。これはまさにIoTが実現された状況であるといえる。

 一番分かりやすい例がサービスの現場である。サービスマンが故障対応で現場に行く際に、事前に故障直前の機器の稼働状況が分かっていれば、それに応じて故障部分を想定したり、交換部品を事前調達できたりする。そのため、修理対応を早めることが可能になる。これは既に、一部の工作機械メーカーや、発電プラントメーカーがアフターサービスとして行っている。

 これをさらにウェアラブルと組み合わせることで、対象となる故障機器と部分についての位置情報提供、過去トラブル事例の参照なども容易に行えるようになり、現場作業者を効果的に支援できる(図2)。

photo 図2:IoTとウェアラブルによる保守作業プラットフォーム概念図(クリックで拡大)

 IoTに関しては最近、政府、研究機関、ITベンダー、メーカーなどから興味深い発表・提言が次々となされている(関連記事:「いまさら聞けない モノのインターネット」――インテルがIoTを“超”分かりやすく解説)。ここでは個々の詳細については言及しないが、いずれも工場などの現場の機器をネットワークに接続し、機器と人とがより良く協調できる世界を目指している。このような潮流は、ウェアラブルと現場環境においても大きな追い風となるであろう(表1)。

photo 表1:産業とインターネットの将来ビジョン

理想的な組み合わせとなるウェアラブル+AR

 先ほどまで、スマートグラスによって実際の視野+補助情報を表示することで、現場作業を支援できる例を示してきた。最近では、現実の視野に合わせて表示するものとして、拡張現実(AR:Augmented Reality)が注目されている。ARとは、マーキングなど誇張表現をしたオブジェクトを追加し、映像に加工を加える技術の総称である。図3の例では、作業者が現実で見ているエンジンルームに対して配管をどのようにすべきかを仮想的に重ね合わせて表現している。このことが、現場作業の生産性と品質向上につながることがよくお分かり頂けるだろう。

photo 図3:拡張現実の現場での活用事例

 スマートグラス+ARの検討事例として、VuzixとSAPが共同で開発、技術化している事例がある。(動画3

 このシナリオでは、倉庫内搬送作業で、目的地へのガイドや対象部品の保管棚の指示など、ARを活用して行っている。また、搬送機のGPS位置情報による衝突回避、遠隔コミュニケーションのシーンが組み込まれている。

 ARを使う上では、視野全体をマーキングの対象領域にする必要があるため、現時点で最も適したデバイスは、メガネ型かつシースルータイプのスマートグラスである。また、現実視野とAR表示を精度よく重ね合わせることが重要となるので、スマートグラスの装着者の位置、顔(スマートグラスの向き)などをジャイロセンサーなどで正確にフォローする技術が求められる。

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