東芝キヤリア、熱エネルギー量が少ない現場で使える熱回収ヒートポンプ製品拡充FAニュース

「低温熱」や「小・中規模」の熱源しかない現場や工程のための「熱回収CAONS」新モデルと、同一の水配管接続口から出口温度25〜55℃の「温水取出し」と5〜25℃の「冷水取出し」が可能な「熱回収SFMC」の2機種となっている。

» 2014年09月03日 10時30分 公開
[MONOist]

 東芝キヤリアは熱回収ヒートポンプ商品のラインアップを拡充する。高温熱用途には「熱回収CAONS(カオンズ)」の新モデルを、冷暖房用途には「熱回収SFMC(エスエフエムシー)」を、2014年10月から順次発売する。

 近年、排熱エネルギーを再生利用する動きが広まり、ごみ焼却場や工場から出る「中・高温熱」の排ガス、蒸気、中・高温水が、空調や給湯に利用される事例が増えている。その一方で、工場での冷房や生産工程の冷却の際に出る40℃以下の「低温熱」の排熱は、多くが使われずに捨てられているという。

 そこで同社は、中部電力との共同研究で、回収可能な熱エネルギー量が少なく、回収困難な「低温熱」や「小・中規模」の熱源しかない現場・工程のため、「熱回収CAONS」の新モデルを開発した。新モデルでは、運転可能な熱源水の入口温度の範囲を13〜40℃に拡大しながら、加温工程(50〜85℃程度)や浴槽保温などに利用できる「中・高温熱」の供給も可能としている。そのため、冷却・加熱の工程がある工場向けとなっている。

 同製品は、条件によっては省エネルギー性の高さを示す総合COPが5.7となる。従来のシステムと比べて最大約50%のエネルギーコスト削減ができる。モジュール1台の加熱能力は60kW。想定される負荷に応じて1〜128台のユニットを組み合わせ、システムを構築できる。

 また同社は、簡単な操作で冷媒回路を切り替え、同一の水配管接続口から、出口温度25〜55℃の「温水取り出し」と、5〜25℃の「冷水取り出し」が可能な「熱回収SFMC」も合わせて発売する。地中熱、地下水、下水処理水などからの熱エネルギーを効率よく回収し活用することができるもので、水熱源方式のため、暖房時の除霜制御が不要で安定した運転ができる。寒冷地も含め、宿泊施設、病院、学校など建物を問わず、一般的な空調システムなどに幅広く用いることが可能だ。

 モジュール1台の加熱能力は98kW/116kW。現地での多数の電磁弁設置と複雑な水配管施工が大幅に軽減されたため、施工コストも削減できる。

photo 熱回収CAONSの運転 概念図
photo 熱回収SFMCの暖房運転 概念図
photo 熱回収SFMCの冷房運転 概念図

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