ホンダ、大容量CADデータを高速流通できるクラウド基盤導入――最大で14倍の高速化製造IT導入事例

ホンダは、世界6極の拠点や約1万社のサプライヤが利用するクラウド型のファイル高速転送基盤を新たに導入した。同社のグローバル戦略パートナーであるNTTコミュニケーションズが同社クラウド上で提供する。

» 2014年09月12日 13時45分 公開
[MONOist]
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 ホンダは、世界6極の同社拠点や約1万社のサプライヤが利用するクラウド型のファイル高速転送基盤を導入した。大容量CADデータの流通や加工などに利用する。同社のグローバル戦略パートナーとして同基盤を構築したNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)が明らかにした。

 ホンダでは2011年から世界6極に存在する同社グループが、相互に連携しながらも、それぞれが同時に開発・調達・生産を行うことができる体制の構築を推進。それぞれの拠点での情報連携の強化に取り組んできた。一方で、開発や部品調達にかかわる業務において、部品メーカー各社との間でやりとりされるCADなどの大容量データは、地域ごとに個別仕様で構築されたファイル転送システムなどで運用されており、セキュリティレベルのばらつき、地域間のデータ転送時の遅延、業務やシステム導入にかかる時間やコストの増加などにつながっていた。

 これらの課題を解決するために、新たに共通のデータ転送基盤の導入を推進。地域ごとに仕様の異なるシステムを共通化できるため、NTT Comの「Bizホスティング Enterprise Cloud」上にクラウド型ファイル高速転送基盤を構築した。

クラウド型ファイル高速転送基盤の導入効果

 新たなシステムは「CADなどの大容量ファイルを快適に送受信する高速ファイル転送」「グローバルレベルで標準化されたセキュリティ機能」「迅速かつ安価な利用が可能」という3つの点が特徴となる。

 ファイル転送システムが稼働するクラウド基盤は全てNTT Comの提供する高品質の企業向けネットワークサービス「Arcstar Universal One」に直結しており、地域をまたぐ基盤間の転送はこのネットワークを経由することで高速転送を実現する。例えば、2013年から開始した日本とシンガポール基盤では、従来利用していたサービスと比べて年間コスト30%削減とデータ共有速度最大14倍向上を確認できたという。

 また、セキュリティ面では、Camelliaによるファイル暗号化およびSSLによる通信経路の暗号化を一元的に適用することで、グローバルレベルでのセキュリティポリシー標準化を実現した。

photo クラウド移行完了後のシステム構成イメージ(クリックで拡大)


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