有限要素法の集中講座を体験してみたCAEは基礎の繰り返しが大事(1/2 ページ)

MSCが2014年8月に開催した有限要素法の集中講座を体験してみた。講師の渡邉浩志氏によると、とにかく手を動かすこと、そしていろんな学習の場に出てみることも大事だという。専門はバイオメカニクスという渡邉氏は、心臓のシミュレーションをしていたそうだ。

» 2014年09月26日 14時00分 公開
[加藤まどみ,MONOist]

 エムエスシーソフトウェア(以下MSC)は2014年8月19日から合計6日間にわたって「サマースクール『有限要素法理論』」を開催した。講師は東京大学で非線形要素法の授業を行っていた同社テクニカルサポート部 シニアアプリケーションエンジニアの渡邉浩志氏である。初日に行われたのは「入門編 式のない有限要素法」。セミナーの一部を体験してきたので、渡邉氏が携わった研究と併せて紹介する。

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 サマースクールは昨年(2013年8月)に初めて学生向けの講座として開催された。テーマは材料力学で、基礎から応用までが6日間にわたって集中的に行われた。ところが実際に開催してみると社会人からの参加要望も多かったため、今年は企業や教職員などにも参加枠を拡大したという。

photo エムエスシーソフトウェア テクニカルサポート部 シニアアプリケーションエンジニアの渡邉浩志氏

 MSCがサマースクールを始めた理由の1つは、より学生に同社を知ってもらいたいという考えからだ。MSCは解析ツールとしてメジャーなNastranを提供している。このツールが誕生したきっかけは、NASAが月へ行くための宇宙開発競争のため、CAEソフトを同社に発注したことだった。現在、CAEツールは当たり前のように製造業の上流工程から下流工程に組み込まれ活用されている。だがもともとは「人が目にしたことのないものを作り、実験不可能な現象を予測するために導入された」だと渡邉氏はいう。

 渡邉氏は東京大学で研究するとともに昨年まで10年間講師を務めた。専門は非線形有限要素法である。バイオメカニズムの分野で心臓の解析などを行ってきたという。今回の講義では、自分自身の有限要素法を習得してきた経験をふまえてテキストを作ったそうだ。

 渡邉氏は、有限要素法をマスターするために大事なのは、とにかく数式を手で書き写して解くこと、そして解析対象となるもののポンチ絵を書けることだという。同氏の経験をふまえれば、数学に関しては話を聞くだけで理解できる可能性はゼロだそうだ。そのため演習問題を解くといったことが必要になる。また内容を理解している人はすぐに図示もできる。逆に絵がすぐ書けるようなら十分に分かっているということだ。

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