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» 2014年10月02日 10時00分 公開

モノづくり×ベンチャー インタビュー(1):革新的な製品を作り続ける――パナソニック出身者が立ち上げた家電ベンチャーの新戦略 (3/4)

[陰山遼将,MONOist]

大企業の経営不振はベンチャーにとっての好機に

MONOist ここ数年、モノづくりを手掛けるベンチャー企業が増えています。Cerevoを立ち上げた当時、ベンチャー企業としてモノづくりを行うための環境は整っていたのでしょうか。

岩佐氏 Cerevoを立ち上げようと考えていた2005〜6年ごろには、部品メーカーが小規模な事業者にもチップを提供し始めていましたし、生産委託といったシステムもありました。小ロット生産だって、あのころから一部では行われていましたしね。だから、モノを作ることに関しては特に心配はしていませんでした。最大の問題は売ることでしたから。

 当時、SNSやeコマースが台頭してきた時代で、海外だと「Myspace」や「Friendster」が、日本だと「mixi」といったサービスに加えて個人ブログも増えていました。インターネット上で誰かが「これは良い」と言ったものに人が集まるという流れが始まりつつあったので、ニッチな製品でも、インターネットがあればマスコミを使わずに製品をプロモーションできるなという感覚はありました。

 だから、インターネットを使って広告費を使わずにモノが売れるような状況になったことは良かったです。あと、あのころから多くの人がソニーやパナソニックのような大手電機メーカー以外の製品を当たり前のように買い始めたんですよね。そこからどんどんマイナーな商品も注目されるようになった。

MONOist Cerevoを立ち上げた当時と現在を比較して、日本国内のベンチャー企業を支える環境の変化についてはどう思われますか?

岩佐氏 確実に良くなっていますね。まず、日本のベンチャーキャピタルが自分たちのようなベンチャー企業に投資する額を増やしているというのが大きいですね。やっぱり、ベンチャー企業というのはリスクマネーが供給されないと、どうしても厳しい。特にモノづくりを手掛けるベンチャーというのは、最終的にはグローバル市場で戦わなきゃいけないというのが宿命でもあります。海外に出て万が一敵がいたときに、持っているキャッシュの額が1桁違ったらもう話にならないですから。投資される額が増えているというのは良いことだなと。

 これは、まだまだ改善していかなければいけない部分でもありますが、ベンチャー企業に少額の投資を行ってノウハウを教える「アクセラレーター」が育ってきたというのも良い点です。モノづくりを行うベンチャーって、ノウハウの塊でもあるわけです。だから「じゃあ1億円あげるよ」といわれても、すぐに始められるわけでもない。何か作ろうと思っても、必要な計測器が1台数百万円という世界なので、そこで「じゃあうちのオフィスの計測器を貸すよ」とか、品質管理の方法を教えたりするアクセラレーターという存在は非常に重要です。

 あと、モノづくりを行うベンチャー企業にとってポジティブな状況だなと思うのが、大手メーカーの業績が悪いということです。日本の大企業って非常に多くの人材を抱えていますが、業績が悪いと人が出ていきやすくなりますよね。自分は日本の製造業って人材ではグローバルで勝てると思ってるんです。家電系の製造開発関係の人材が、日本は間違いなく多いし、世界一だと思う。ベンチャー企業にとって人はとても大事なので、そういった人材が大企業から出てきやすいという意味では、ポジティブな状況です。

 先ほど、Cerevoは大幅に人材を増やしていると話しましたが、そのほぼ全員が元大手メーカーに勤務していた人たちです。

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