パーソナル工作機械によるクリエイティブアワード、グランプリは3Dプリンタ製のヤドカリお宿ユニーク発想の作品が集結

デジタルファブリケーション領域のグローバルクリエイティブアワード「YouFab Global Creative Awards 2014」の受賞作品が発表された。世界各国から集まった応募作品の中から選出されたユニークな作品の数々が、結果発表サイトで閲覧できる。

» 2014年10月09日 13時00分 公開
[MONOist]

 ロフトワークは2014年10月9日、デジタルファブリケーション領域のグローバルクリエイティブアワード「YouFab Global Creative Awards 2014」の受賞作品を発表した。3Dプリンタやレーザーカッターなどパーソナル工作機械を用いた作品を募る同アワードは、今回で3回目となる。

 2014年6月1日〜8月8日の募集期間で、27カ国から143作品の応募があった。カテゴリーは「プロダクト」「アート」「マシーン」「その他」の3つ。今回選出された「グランプリ」「準グランプリ」「ファイナリスト」の19作品が公開された。

 グランプリ作品は、AKI INOMATA氏によるアートカテゴリーの「やどかりに『やど』をわたしてみる」。

グランプリ作品「やどかりに『やど』をわたしてみる」
作品に収まったヤドカリ

 光造形による透過色の作品だ。本物のヤドカリの貝殻をCTスキャンした3次元データに、3次元CGソフトウェアでデータ作成した世界各国の都市の3次元CGデータを追加し、造形データを作成したという。

 2009年に開催された在日フランス大使館の解体イベントの展覧会「No Man's Land」への出展を期に作品の制作をスタート。INOMATA氏は、旧在日フランス大使館の土地が、過去、フランス領になったり、日本領になったりした経緯を知って衝撃を受け、そこから「ヤドカリの宿を引っ越しする習性」のイメージに飛躍したとのことだ。

 INOMATA氏によれば、「制作当初、球を丸くくり抜いただけのものをヤドカリに渡してみたが、ヤドカリから見向きもされなかった」という。今回使用したデータを使って製作した貝殻は、「稀(まれ)にヤドカリによる入念なチェックを通過し『やど』として使用されることがあった」という。

 準グランプリ作品はマシーンカテゴリーから、東大発ベンチャーのAgIC(エージック)による「AgIC Print」で、過去クラウドファンディングの「Kickstarter」にも登録されていた作品だ。

準グランプリ作品「AgIC Print」
電子回路をプリンタで印刷している様子

 Kickstarterでは、7万9939ドルの資金を集め、プロジェクト成功を遂げた。同作品は、家庭やオフィスにあるプリンタを使って、紙の上に電子回路を印刷できるというものだ。回路基板は数分ほどで印刷可能ということだ。

 写真光沢紙や特殊なPETフィルムに印刷するため、曲げられる回路を簡単に作ることが可能だ。従来の回路基板より少ない環境負荷で回路を作れることも利点とのことだ。

 その他、ファイナリストの作品は、結果発表サイトから全て閲覧できる。キャリーケースに付いた編み機が、旅をするごとに編み物を編みあげる「旅するニットマシン」、食材が調理できるという「キッチン3Dプリンタ」など、ユニークな作品が集まっている。

 受賞作品は同年10月25日〜11月4日まで、FabCafe内の展示で見ることが可能だ。

 同アワードの審査は、MIT メディアラボ所長 伊藤穰一氏、DUS Archtects 共同創業パートナー Hans Vermeulen氏、クリエイティヴ・キュレーター 四方幸子氏、東京大学生産技術研究所 教授 山中俊治氏、ライゾマティクス代表取締役 齋藤 精一氏の5人が務めた。

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