“日本発ロボット”世界へ、福祉機器ロボット電動車いす「NRR」ロボット開発ニュース

新エネルギー・産業技術総合開発機構はテムザックおよびNTTドコモと共同で、車いす型の福祉ロボット「NRR」を開発、デンマークで実証実験を開始すると発表した。EU内での販売に必要な認証を得ており“日本発ロボット”の海外展開を狙う。

» 2014年11月04日 15時08分 公開
[渡邊宏,MONOist]
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年11月4日、テムザックおよびNTTドコモと共同で、福祉機器ロボットの電動車いす「NRR」を開発し、デンマークのコペンハーゲン市およびファーボ・ミッドヒュン市にて実証実験を開始すると発表した。

 NRRはいわゆる電動車いすにスマートフォンを組み合わせた見守り機能と、利用者の体格に応じた座面変更など介護者への支援機能を搭載した福祉ロボット。

 搭載したスマートフォンのアプリと通信機能を利用することで、利用者1人1人の体格と利用目的に合わせた座面高と移動速度をワンボタンで適用できる他、バッテリー残量が少なくなったり転倒したりする際に指定した連絡先へメールなどで連絡することもできる。車いすとしても、背もたれがなく、すねと胸で体を固定する独創的なスタイルとなっており、搭乗のしやすさや乗った状態での利便性も考慮されている。

photo 車いす型の福祉ロボット「NRR」 後ろに見えるのはテムザックの代表取締役CEO 高本陽一氏 
photophoto ハンドル部分に操縦用スティックとスマートフォンを備える。スマートフォンのボタン(アプリ画面のボタン)で利用目的に合わせた座面高と速度の調整を行える。移動操作はリモコンからも可能だ
photo 胸とすねで体を支えるスタイルのため、走行時でも目線の高さがあまり下がらず、周囲とのコミュニケーションも取りやすいという

 本体部分については、欧州での商品販売に必要なEUの基準に適合していることの証明である「CEマーキング」を取得(「CE宣言」済み)している。デンマークで行う実証実験では介護従事者の業務ならびコストの削減効果検証を主として、NRRと運用管理情報システムの運用、緊急時における介護者と被介護者のコミュニケーション検証を行う。また、自立生活支援による介護費用ならび介護士労働時間の削減検証もあわせて行う。

 CEマーキングの取得によりEU圏内での販売に必要な要件をクリアできたことから、テムザックの代表取締役CEO 高本陽一氏は「日本のロボットが輸出できるようになった」と“日本発ロボット”の海外展開に意欲を示した。

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