三菱重工業、たる形の多刃工具で内歯車を高速・高精度に加工するシステムを開発FAニュース

たる形の多刃回転工具「スーパースカイビングカッター」を使用することで、加工が難しい内歯車の量産が可能になった。工具の長寿命化と専用の切削シミュレーションソフトなどにより、加工時間の短縮や生産コストの低減も図れる。

» 2014年11月06日 07時00分 公開
[MONOist]

 三菱重工業は2014年10月20日、内歯車をたる形の多刃工具で高速・高精度に加工する「三菱スーパースカイビングシステム」を開発したと発表した。

photo スーパースカイビングカッター

 スカイビング加工とは、ピニオンカッター型などの回転工具をワーク(歯車材)に対して軸交差角度を与えて取り付け、両者を同期回転させることで切削加工する技術のこと。高速加工が可能な半面、切削角度(すくい角)が鈍角となるため、加工精度を高めることが難しく、工具の消耗も激しいという課題があった。

 新システムでは、同社の独自技術であるたる形の多刃回転工具「スーパースカイビングカッター」を使用。量産用内歯車研削盤「ZI20A」で採用したたる形砥石技術をスカイビングに適用したもので、ワークとの干渉を避け、かつ切削角度が鈍角にならないようたる形にしたことで、大きな軸交差角が取れる。これにより、切削速度・加工精度とも、ピニオンカッター型スカイビングを凌ぐ水準を達成でき、加工が難しい内歯車の量産が可能になった。また、多刃にしたことで、工具寿命は2倍以上に長寿命化したという。

 工具の他に、スカイビング専用に切削シミュレーションソフトも開発している。工具切刃に掛かる切削力などを正確にシミュレーションすることで、工具の長寿命化と加工機に合った最速加工ができ、加工時間の短縮や生産コストが低減できるとしている。

 同社では、2015年4月をめどに工具と専用スカイビング盤の販売を開始し、シミュレーション技術や加工機、加工ソフトを組み合わせた新システムとして提案していくという。

FAメルマガ 登録募集中!

famerumaga

MONOist FAフォーラムのメールマガジンの配信を2014年7月よりスタートしました。FAニュースをはじめ、産業用ロボット、インダストリー4.0、PLCや産業用ネットワーク、制御システムセキュリティなど注目の話題をまとめてお届けしています。

ぜひ、メルマガ配信のご登録をお願い致します。


関連キーワード

切削加工 | 三菱重工業 | FAニュース


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.