ホンダのセダンタイプ燃料電池車は5人乗りを実現、発売は2015年度内燃料電池車(2/3 ページ)

» 2014年11月17日 18時10分 公開
[朴尚洙,MONOist]

パワートレインをエンジンルームに収めて5人乗りを実現

 Honda FCV CONCEPTは、同社が2008年7月にリース販売を始めたセダンタイプの燃料電池車「FCXクラリティ」を進化させた車両だ。

 新開発の燃料電池セルスタックは、FCXクラリティのものと比べて容積で33%の小型化を図りながら、出力は100kW以上を確保した。出力密度は3.1kW/l(リットル)と1.6倍になっている。この他、空気を燃料電池セルスタックに送り込むコンプレッサを電動化して空気供給圧力を従来比で1.7倍に高めた。さらに、燃料電池セルスタックからの電力の電圧を昇圧する電圧コントロールユニットを追加し、走行用モーターを高電圧で駆動できるようにした。なお、電圧コントロールユニットには次世代パワー半導体であるSiC(シリコンカーバイド)デバイスを採用することで、小型高出力化を果たした。

燃料電池スタックの比較 「Honda FCV CONCEPT」の燃料電池スタック(左)はFCXクラリティのもの(右)と比べて大幅に小型化されている(クリックで拡大)

 走行用モーター、ギヤボックス、インバータを中心とするパワーコントロールユニットを一体パッケージにしたユニットを含めた燃料電池パワートレインを、「世界で初めて」(ホンダ)セダンタイプの車両のエンジンルーム内に集約して搭載した。これにより、大人5人の乗車が可能な広い車室を実現できたという。

「Honda FCV CONCEPT」の主要コンポーネントのレイアウト(左)と燃料電池パワートレインのモックアップ(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 なお、FCXクラリティでは、燃料電池セルスタックを車室内のセンターコンソール部に組み込むなどしていたため、乗車定員は4人だった。また、トヨタ自動車が2014年内に発売するセダンタイプの燃料電池車「ミライ」の乗車定員も4人である。

 この他、水素タンクの圧力もFCXクラリティの35MPaから70MPaに高めた。これによって、水素を満充てんした状態からの走行距離はJC08モードで700km以上を達成したという。水素タンクへの再充てん時間も約3分と短い。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.