「ギリギリを攻める」の“ギリギリ”って何? ――限界利益についていまさら聞けない原価管理入門(6)(1/2 ページ)

「いまさら聞けない原価管理」として、原価管理の基礎を分かりやすく解説する本連載。最終回となる今回は、もうかるかもうからないかのギリギリの境界線となる「限界利益」について、解説します。

» 2014年12月01日 09時00分 公開
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 西アフリカでエボラウイルスが猛威を奮っています。多くの方の命を奪うこの病が一刻も早く鎮静化することを祈るばかりです。ところで、このような未知の感染症にはTipping Point(ティッピングポイント)と呼ばれるポイントがあるそうです。これは一定数まで感染者が増えると急激に増加が加速するポイントのことで、その限界点を指しています。エボラウイルスの場合はこのポイントを超えないことを祈るばかりですが、実は原価管理には超えることで確保できる数値が登場します。それは「限界利益」です。最終回となる今回はこの限界利益について解説します。

限界利益の算出方法

 ここまで本連載では、共通費用や間接費など製品アイテムごとに直接的には割り付けることのできない費用を、どのように工程別あるいは製品別に配賦してコスト算出するかについて紹介してきました。

 ここで多くの人を悩ます問題が出てきます。共通費や間接費などを製造実績に応じて配賦していたのでは、同じ製品でも毎月のプロダクトミックスや生産量変動などによりチャージが変動し原価も変動してしまうということです。この悩みを解消するために標準原価という考え方を導入することは、第2回「原価で飲める原価バー!? ところで『原価』って何なの?」で説明しました。

 ただ、標準原価は製品アイテム別の損得を判断するには使えるものの、最終的に実績原価との差異分析を行わなければ企業あるいは事業部門全体の損益への影響度をきちんと判断することができません。

 そこで、直接原価という考え方が登場します。直接原価とは生産量に応じて比例的に増減する費用である変動費分のみを原価と見なすという考え方です。この限界利益の算出式は次のようになります。

限界利益 = 売上高 − 変動費

 この限界利益が固定費よりも大きければ黒字になり、小さければ赤字ということになります。式で表現してみますと、以下のようになります。

  • 限界利益 = 売上高 − 変動費 > 固定費 → 黒字
  • 限界利益 = 売上高 − 変動費 < 固定費 → 赤字

 ポイントは固定費については個々の製品に配賦するのではなく、固定費全額を限界利益でカバーできているかどうかという見方をすることで事業全体の損益状況をきちんと把握するということです。

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