百貨店には売ってない、世界で1つだけのジュエリーを作る! デジタルジュエリー体験記国産ジュエリーCADを使ってみた(4/4 ページ)

» 2014年12月01日 10時00分 公開
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「これで定時に帰れる……!」――感動のご対面

 CADデータを作成してから2週間ほど経過したある日、佐藤さんから「できましたよ!」と連絡がありました。早速工場に向かい、ご対面です。

 ジュエリーらしくすてきな箱に入っています。

 ドキドキ……。

 ドキドキ……。

 ドキドキ……。

 えいっ!!(画像17


ぱかっ!! 画像17 ぱかっ!! ※画像クリックで拡大表示
ピカピカの「定時」! 画像18 ピカピカの「定時」! ※画像クリックで拡大表示

 なんということでしょう。あの適当なラフ画から生まれたとは思えない、CADのデザインそのままの素晴らしいシルバーリングがそこにあります! 「ポイントである『定時』という文字が一番目立つように」という職人さんたちの計らいにより、文字周りはマットに、文字部分はピカピカに加工してくれました(画像18)。もちろん、指輪の内側にはルビーが輝いています(画像19)。

 心臓のドキドキが止まりません。これは想像を超える感動です。

指輪の内側にはルビーが 画像19 指輪の内側にはルビーが ※画像クリックで拡大表示

 受け取り後、「昔のジュエリー作りはもっと大変だったんですよ」と語る佐藤さん。3Dプリンタや3D CADがなかった時代は手で描いた図面を基に、職人さんが原型を作成していたとのことですが、完成した段階で「イメージと違う!」とお客さまに言われて振り出しに戻ることが大変多かったそうです。

 これに対し、デジタルジュエリーの場合は「CGでイメージを確認しつつ、その場で修正したり、3Dプリンタで立体物を確認したりできるようになったことで、デザイン確認時の課題が大幅に改善されました」と佐藤さんから教えていただきました。

誰でも本格ジュエリーが作れる時代へ

「make.digitaljewelry」を運営するジュエリーデザイナーの佐藤善久さん 画像20 「make.digitaljewelry」を運営するジュエリーデザイナーの佐藤善久さん

 実はもともとは営業マンだった佐藤さん。ある日、こちらの工場でシンプルな指輪を初めて自分でCADから作成したときに「俺でもできるじゃん!」ととても感動したことが活動を始めるきっかけだったそうです。

 「これからはより多くの人に、自分で考えたデザインでオリジナルの本格ジュエリーを作って、モノづくりの喜びを実感してもらいたいですね。make.digitaljewerlyはその手助けをする場だと考えています」(佐藤さん)。

 実際、make.digitaljewerlyには、「電気メーカーに勤めていてCADで設計しています。自分のデザインしたデータで結婚指輪は作れますか?」という問い合わせがあり、ジュエリー製作の見地から、職人さんたちと一緒にデザインを詰め、完成させたという事例があったそうです。

 もちろん女性として、百貨店に並ぶジュエリーへの憧れもありますが、それらと同様のクオリティーで、自分で考えたデザインのオリジナルジュエリーが出来上がる感動は想像以上のものでした。また、今回のように絶対に売っていないデザインでも、難なく実現できる点も見逃せません。「定時」とデザインしたいかは別として、このようなニーズも少なからずあるのではないでしょうか。

 3D CADと3Dプリンタを使って作るデジタルジュエリー。筆者にも「次はピアスを作るぞ!」と今までになかったモノづくりへの気持ちが芽生え始めました。こうした新しいサービスを通じて、モノづくりに目覚める女性も増えていくのではないでしょうか。今回のようなジュエリー(アクセサリー)に限らず、ファッションと3Dプリンタ、メイクと3Dプリンタなど、女性視点で新しい世界が開けてくると世の中がもっともっと楽しくなるのではないかと思います。

 デジタルジュエリーに興味のある方は、make.digitaljewerlyのサイトを一度のぞいてみてはいかがでしょうか。

⇒ 「試してみた/使ってみたシリーズ」のバックナンバーはこちら

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