CAEライセンスを分けあえる!? SIMULIAの新利用体系とは「Abaqus」「Isight」など4種類のCAEツールが一堂に

モノづくりにおけるシミュレーションの重要性はますます大きくなっている。だがそのために必要なCAEツールの導入にそれなりのコストや手間が掛かるのも事実だ。ダッソー・システムズのSIMULIAブランドは、「CAEライセンスを分けあえる」という新しいライセンス体系で、その現状に一石を投じようとしている。

» 2014年12月04日 10時00分 公開
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 実試験をシミュレーションへと置き換える需要は増す一方だが、さまざまなCAEツールをそろえることはコストや運用の面からなかなか難しい。また各CAEツールは製品開発の全工程を通して常に使い続けるとは限らないことも、導入をためらわせる原因になっている。

 そんな課題を解決するのが、ダッソー・システムズのシミュレーション関連ツールのブランド・SIMULIAが提供するライセンス体系「SIMULIA Abaqus Extended Package」である。これは、契約ライセンス数を上限として、同ブランドが展開するCAEツールを、ユーザーが自由に運用できるというものだ。

 対象となるのは、SIMULIAの中核を成すCAEツール「Abaqus」、自動化・最適化ツール「Isight」、ノンパラメトリック最適化ツール「Tosca」、疲労解析ツール「fe-safe」の4種類。ライセンス数が1件だと1種類のツールしか使用できないが、ライセンス数を増やすことで各ツールを同時に使用したり、同じツールを複数利用したりできるという仕組みだ。より低コストで柔軟なCAEツールの運用が可能になる画期的なライセンス体系になっている。

 また、例えばこれまでAbaqusだけを使っていたユーザーにとって、IsightやTosca、fe-safeなど他のSIMULIAブランドのCAEツールを試せるという利点もある。シミュレーションの活用シーンが広がる中、コストを抑えながらじっくりと新しいツールを試せるよい機会にもなりそうだ。

「SIMULIA Abaqus Extended Package」の概要。ライセンス数を4種類のCAEツールで分けあえる

実績ある「Abaqus」を中心に展開

ダッソー・システムズ SIMULIA事業部ディレクター 岩本康栄氏

 シミュレーションは、戦略的な技術として認識されるべきという調査もあるほど重視されている。ダッソー・システムズ SIMULIA事業部ディレクターの岩本康栄氏は、「今後シミュレーションは、モノづくりの中心的かつ重要な役割を担っていくと予測されています」と語る。

 同社はこのトレンドを受けて、SIMULIAブランドの下、CAEツールの充実に注力している。先述した4種類のCAEツールの他、2013年には樹脂流動解析ツール「Simpoe-Mold」、2014年にはマルチボディダイナミクス解析ツール「SIMPACK」などを買収しSIMULIAブランドの強化に努めている。

 SIMULIAのコアツールとなるAbaqusは、1978年のリリース以来、あらゆる業界で利用されている有限要素解析ツールだ。最近でも、建設機械大手・キャタピラーによるゴミ処理用特殊車両や、大手PCメーカー・レノボのモバイル機器など、世界の名だたるトップメーカーの活用実績は枚挙にいとまがない。

 Abaqusの機能は大まかに2つに分けることができる。まず「Abaqus Standard」は、陰解法をベースとした線形・非線形挙動に対応する解析機能であり、静的現象や構造の動的現象を計算する。そして「Abaqus Explicit」は、陽解法をベースとしており、高速な動的現象に対応するとともに、極めて非線形の強い準静的現象にも対応可能である。

ダッソー・システムズ SIMULIA事業部 西日本技術部 テクニカル・スペシャリストの米澤智志氏

 ダッソー・システムズ SIMULIA事業部 西日本技術部 テクニカル・スペシャリストの米澤智志氏は、「構造系の解析ツールとして知られるAbaqusは、“ハードなもの”ばかりに利用されていると思われがちです。しかし“柔らかい”分野も得意なのです」と強調する。

 この“柔らかい”分野の例となるのが、体内の血管や関節などといった医療分野に用いる器具のシミュレーションである。血管内治療で、血液の流れを維持・操作する目的で金属の網目状の管であるステントという器具を使うことがあるが、そのステントを目的の場所に配置して目的のサイズにまで膨らませるといったシミュレーションに使用されているという。

ステントをはじめとする医療業界での利用事例

 また、膝の人工関節のシミュレーションにも使用されている。関節は個人によって形状が異なるため、術前にシミュレーションを行って、うまく動作するのか、目指す年数だけ動作するのかといったことを確認するのだという。

自動化に役立つ「Isight」や「Tosca」、「fe-safe」も利用可能

 新ライセンス体系には最適化関連ツールも含まれている。Isightは、解析プロセスの自動化と設計最適化を行うツールだ。設計からメッシュ作成、解析までの作業の繰り返しは手間が掛かる上、手動で行うとどうしても多少のミスは避けられない。Isightはこれらの無駄を省き、大幅な作業時間の短縮を可能にするツールである。Abaqusだけでなく、他社CAEツールと連携させることも可能だ。「他のCAEツールとオープンにつながるIsightをきっかけに、今までAbaqusを使っていなかったユーザーに訴求する良い機会になります。新ライセンス体系にはそういった狙いもあります」(米澤氏)ということだ。

 Toscaは、ノンパラメトリックの最適化ソリューションだ。その主力製品である「Tosca Structure」は、有限要素法解析の汎用ソルバーであるAbaqusだけでなく、「ANSYS」や「MSC Nastran」と組み合わせることで、トポロジー(位相)最適化や形状最適化を行える。肉抜き、ビードの作成、板厚、表面形状の最適化などを行うことが可能だ。例えば、既に形状ができ上がった部品にさらなる耐荷重要求があったとき、経験のある技術者が考え抜いて設計した形状をさらに改善するのは至難の業だ。そういったときも、Toscaを使えば革新的なアイデアが得られるだろう。

 fe-safeは、金属材料の疲労寿命解析ツールである。有限要素法の解析結果と負荷サイクル、材料データを組み合わせて疲労寿命を予測する。追加モジュールで、溶接ジョイントの疲労やクリープ疲労などにも対応する。またさまざまな条件で試験をするとなると時間がかかり、試験条件をそろえることも難しくなる。疲労試験をシミュレーションに置き換えることで、正確かつ素早く疲労を予測するのに役立つだろう。

 ダッソー・システムズのSIMULIAブランドとしての最近の動向でもう1つ注目したいのが、Abaqusの連成解析技術「Co-Simulation Engine(CSE)」だ。これはある1つのソルバー実行中に、他のソルバーを同時に実行し連成した解析結果を得る技術である。Abaqus StandardとAbaqus Explicit、のAbaqus間の連成解析だけでなく、他社製ソルバーとの連成が可能なのだ。現在CSEが正式に対応しているのは、熱流体解析ツールの「STAR-CCM+」や「SCRYU/Tetra」、電磁界解析ツール「J-MAG」など。「CSEはAPIを公開しているので、ユーザーの内製ソルバーなどとAbaqusの連成も可能です」(米澤氏)。

7社の販売パートナーともにユーザーの要求に柔軟に対応

SIMULIAブランドの国内パートナー

 このように、新たなライセンス体系の導入や、各種CAEツールの強化・充実に努めているSIMULIAブランドだが、各ユーザーに最適な提案を行うため、さまざまな企業との提携によるエコシステムの構築も重視している。

 「SIMULIAブランドは約150のベンダーとアライアンスパートナーの関係にあり、われわれが持たないハードウェアやツールを提供してもらっています。そして日本国内では、ユーザーの要求に柔軟に対応できるよう、7社の販売パートナーにSIMULIAブランドの展開を強力に支援してもらっています」(岩本氏)という。

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提供:ダッソー・システムズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年1月31日