効果的な原価低減推進の考え方【中編】実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(5)(2/4 ページ)

» 2015年01月28日 09時00分 公開

動作経済の原則を徹底実行せよ!

 日常作業の習慣化した作業方法も、その内容を詳しく分解してみると、意外に「ムリ」「ムダ」「ムラ」が多いものです。いつも、改善すべき動作や作業が無意識のうちに発見できるまでに、問題発見の常識(モノの見方)を身に付けましょう。

 動作の改善にずっと以前から用いられてきたのは“動作経済の原則(the principles of motion economy)”です。ギルブレス※1)によって、疲労が少ない動作についての提唱があり、その後、多くの学者や実務家によって整備され、動作経済の原則として法則化されました。ムリ、ムダ、ムラのない作業動作を実現しようとするものです。

※1)ギルブレス(Gilbreth Frank Bunker、1868〜1924年):米国の技師、マネジメント・コンサルタント。科学的管理法のうち、動作研究の開発者。れんが積み作業の動作研究を始め、18の基本動作に要素化したサーブリッグ(記号)を発案し、作業管理を科学的に行う基礎を作った。

 動作経済の原則は、作業を最も効果的に行うために考え出された改善のノウハウのポイント集でもあります。そのポイントは「身体の使用に関する原則」「作業場の設備に関する原則」「設備・工具の設計に関する原則」に大きく分類されています。毎日、この動作経済の原則の項目を、1項目ずつでも復唱しながら現場を歩くだけで、多くの改善すべき項目を発見することができます。

 作業改善の多くは動作経済の原則を明確に使用していないまでも、無意識のうちに、この原則を足場としていることが多いように見られます。さまざまな場合に、その場に適した原則がすぐに浮かんでくる人を「モーションマインド(motion mind)がある人」といいますが、多くの作業改善を専門とする人々は、このモーション・マインドの優れた人である場合が多いです。これらの人々は、ほとんど無意識に動作の改善をしています。これもやはり、多くは動作経済の原則の適用を行っているわけです。

 動作経済の原則の中でも代表的な「身体部位の使用に関する原則」には、以下の項目が紹介されています。

  • 不必要な動作を削除する
  • 動作は最適最低次の身体部位を活用する
  • 動作は最短距離で実施する
  • 動作の数を減らし、動作の結合を図る
  • 制約を少なくし、動作を楽な方向にする
  • 慣性力や反発力の活用を考える
  • 重力などの力を活用する
  • 動作の方向に対しては抵抗なく、その変換については円滑にする
  • 作業に対してリズムを持たせる
  • 作業は両手使用を考え、同時に開始し、同時に完了する

 次の表1表2は、「動作経済の原則・基本動作4原則(基本動作数を最少にする、動作を同時に行う、動作の距離を短くする、動作を楽にする)」を、より具体的に整理したものです。現場改善のチェックシートとしてご活用ください。

動作経済の原則の具体例

photo 表1:動作経済の原則 その1
photo 表2:動作経済の原則 その2

 作業に含まれるムリ・ムダ・ムラを動作経済の原則に照らし合わせて分析し、それらを排除・改善する。また、作業設計の段階で動作経済の原則を適用した設計を行う。

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