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» 2015年02月17日 11時00分 公開

プリンテッドエレクトロニクスがもたらす“次のビッグウェーブ”ウェアラブル(2/2 ページ)

[陰山遼将,MONOist]
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印刷関連企業26社による研究開発が加速

 フレキシブルなデバイスや部品の薄型化に貢献するプリンテッドエレクトロニクスだが、課題となるのは量産と実用化を視野に入れた製造技術の開発だ。染谷氏は「残念ながら私が開発した薄型の有機トランジスタ回路は、いわば工芸品のような“1点もの”のプロトタイプ。量産できる技術を確立しなければ産業へのインパクトはないだろう」と説明する。


「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基板技術開発」(左)とJAPERA(右)の概要(クリックで拡大)

 こうした課題を解決すべく、プリンテッドエレクトロニクスの製造技術の確立を目指すNEDOのプロジェクトが「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基板技術開発」だ。染谷氏がプロジェクトリーダーを務める同プロジェクトでは、印刷関連企業26社と産業技術総合研究所によって組織された次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)を中心に研究開発を進めているという。

 「プリンテッドエレクトロニクスの実用化に向けては、材料や使用する機械、製造プロセスだけでなく、これら全てを組み合わせたシステム全体の実証も行わなくてはいけない。そのために26社という多くの企業を集め、垂直統合型のプログラムとすることで、実用化に向けた技術の素早い開発を目指している」(染谷氏)。

実用化に向けた研究成果の応用事例も

 研究開発拠点となっているのは、産業技術総合研究所の研究施設(茨城県つくば市)で、ここに26社全てが集まって研究が行われている。具体的には同施設内に、プリンテッドエレクトロニクスを連続生産するための標準一貫生産ラインを構築し、“脱工芸品”を目指して実用化に耐えうる製造技術の研究開発が進められているという。

産業総合研究所(茨城県つくば市)内の研究施設内に設置されているプリンテッドエレクトロニクスの標準一貫生産ライン(クリックで拡大)

 染谷氏はこうした研究開発の成果について「“工芸品から工業品へ”をスローガンに研究開発を進めてきた。現在、プログラムの目標であった50枚の連続生産や、約10%以内の均一性、周波数1GHzへの対応などを既に達成しており、とても順調に成果が出ている状況。プリンテッドエレクトロニクスは、工業品として利用可能な品質のものは実現できないといわれてきたが、湿度や材料の品質管理までを徹底することで、品質も良品率も向上してきている」と説明した。

凸版印刷が実用化に向けた開発を進めている電子棚札(クリックで拡大)

 さらに染谷氏は、プログラムにおける研究開発成果の応用例として、凸版印刷が開発を進めている電子棚札を紹介した。「こうした細長いプリンテッドエレクトロニクスを生産する技術の応用も実用化に向かっている。また大日本印刷が大面積の圧力センサーを、リコーが高精細な電子ペーパーの開発に取り組むなど、この他にもさまざまな取り組みが行われており、成果が出始めている」(染谷氏)。

 染谷氏は同プログラムの今後について「引き続き生産技術の開発を進める一方で、技術の国際標準化に向けた取り組みも並行して行っている。材料や製造機械といった日本に強みがある分野を活用することで、プリンテッドエレクトロニクスという新しいモノづくりのかたちを実現させていきたい。そして今後の大きなトレンドとなるであろう、IoTやウェアラブルというビッグウェーブを捉えていきたいと考えている」と語った。

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