モノづくり技術を活用して途上国の生活をデザインするプロジェクト製造マネジメントニュース

三菱電機は研究成果披露会において、同社の技術や製品を活用して、発展途上国などで生活する人々の暮らしのデザインに取り組む新プロジェクト「small world project」を公開。同プロジェクトのもとで開発された製品のコンセプトモデルが展示された。

» 2015年02月19日 11時00分 公開
[陰山遼将,MONOist]

 三菱電機は2015年2月17日、東京都内で開催した研究成果披露会において、同社の技術や製品を活用して、発展途上国などで生活する人々の暮らしのデザインに取り組む新プロジェクト「small world project」を公開した。三菱電機のデザイン研究所に所属する若手デザイナー4人の発案によるもので、会場では同プロジェクトのもとで開発された冷蔵庫、空気清浄機、太陽光発電システムのコンセプトモデルが展示された。

強化ダンボールを製品の“外装”に

 small world projectが展示した冷蔵庫、空気清浄機、太陽光発電システムは、一見ダンボールで梱包されているように見える。しかしこれは梱包を兼ねた製品の“外装”で、建築資材などに使用される強化ダンボールを使用している。この見た目のまま、梱包材を使用することなく途上国に向けて輸送できるというコンセプトだ。

「small world project」として展示した冷蔵庫(左)と空気清浄機(右)(クリックで拡大)

 三菱電機の説明員によれば、こうした途上国向けに物資を提供する場合に課題となるのが輸送コストだという。そこで梱包材を兼ねた強化ダンボールを製品外装とすることで、輸送コストの削減を狙っている。「このプロジェクトは、製品の見た目よりも製品そのものの機能やこれらを使用して得られる体験や価値をいかに届けやすくするかが軸となっている。過剰な梱包をしないことでゴミが出ないというメリットや、ダンボールの外装に企業名や広告を印刷することで、企業の新たなCSR(Corporate Social Responsibility)活動に利用できる可能性もある」(三菱電機 説明員)。

「small world project」として展示された太陽光発電装置(左)。今回展示された3つの製品は、積んだ時に隙間ができないように外形寸法が設計されている(右)(クリックで拡大)

 輸送のために製品を積載する際、数十cmの無駄な隙間ができてしまうだけで、トータルで数十億円もの余分な輸送コストが発生してしまうという。そこで今回展示された冷蔵庫、空気清浄機、太陽光発電システムの3つは、積みかさねた時に余分な空間が生まれないよう外形寸法が設計されている。

 それぞれの製品の機能については、言語や識字力の違いなどに左右されずに誰でも直感的に操作できるシンプルな設計をコンセプトにしているという。なお、今回展示された製品は、コンセプトモデルのため実際に操作することはできなかった。三菱電機の説明員は「現時点では今回展示したコンセプトモデルを製品化する予定はないが、将来的な実用化に向けて前向きに検討していきたい」としている。

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