ODE45で常微分方程式の初期値問題を解く無償ソフトで技術計算しよう【シミュレーション基礎編】(3)(1/2 ページ)

4次のルンゲ・クッタ法をベースにした解法「ode45」は微分方程式を数値的に解くコマンド。今回はode45を使って微分方程式を数値的に解いていく。MATLABでの計算と比較もしてみた。

» 2015年02月20日 10時00分 公開
[伊藤孝宏,MONOist]

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 今回は、微分方程式を数値的に解くコマンド「ode45」の使い方を説明します。

筆者注:FreeMatはコマンド入力後にエンターキーを押すとコマンドを実行します。本連載ではエンターキーの記述を省略しますが、操作の際にはコマンド入力後にエンターキーが必要です。



odeとは

 MATLABには「ode」と呼ばれる微分方程式解法のコマンドがあります。odeとは、「Ordinary Differential Equation」(常微分方程式)の略です。odeは常微分方程式を数値的に解くコマンドで、対応できる微分方程式に合わせていくつかの種類があります。ode45は4次のルンゲ・クッタ法をベースにした解法で、ほとんどの問題に対応できます。MATLABでは、初めにode45で試して、うまく行かない場合に別なodeで試すといった使い方をします。FreeMatにはode45のみ搭載されています。

ode45の使い方

 ヘルプファイルを見てみましょう。ode45は「Numerical Methods」グループにあります。

function [t,y] = ode45(f,tspan,y0)

ode45 is a solver for ordinary differential equations and initial value problems. To solve the ODE y'(t) = f(t,y) y(0) = y0

over the interval tspan=[t0 t1], you can use ode45. For example, to solve the ode

y' = y   y(0) = 1

whose exact solution is y(t)=exp(t), over the interval t0=0, t1=3, do

--> [t,y]=ode45(@(t,y) y,[0 3],1)

 意味は、「ode45は常微分方程式の初期値問題を解くためのソルバーです。初期値がy(0)=y0で与えられるy'(t)=f(t,y)をt0からt1の範囲で数値的に解くといった場合にode45が使えます。例えば、dy/dt=yでy(0)=1をt0=0,t1=3の範囲で解くには(この問題の解析解はy(t)=exp(t)となりますが)、[t,y]=ode45(@(t,y) y,[0 3],1)と入力します」ということです。

 ode45は、ode45(関数、解析範囲、初期値)と入力すると、解析結果を配列として返します。ここで、関数の与え方には、以下の3種類の方法があります。前回の説明で用いたdy/dx=cos(x)をx=0〜πの範囲で初期値y(0)=0で解くことを例に説明します。この場合、解析解はy=sin(x)になります。

inlineコマンドを用いる方法

 下記のように、inlineコマンドを使い、任意の関数名でcos(x)を定義します。ode45には定義した関数名(この場合、f)を関数名に相当する引数の位置に記載すれば、定義された関数が渡されます。

--> f=inline('cos(x)');
--> [x,y]=ode45(f,[0,pi],0);
--> yy=sin(x);
--> plot(x,yy,'o-',x,y,'*-');grid('on');

 1行目と2行目で、

という式を解いています。3行目と4行目でdy/dx=cos(x)の解析解y=sin(x)も、一緒にプロットした結果が図1になります。○が解析解、*が数値解になります。両者は良く一致していることが分かります。

 図1を見ると、点の間隔が一定ではないことが分かります。

図1:dy/dx=cos(x)のode45による解法結果

 これは、ode45の解法による結果が必要な精度を満足するように、自動的に分割幅を設定しているためです。

 図2は、数値で見た出力結果です。

図2:ode45の出力結果

 xが列方向の配列であるのに対して、yは行方向の配列になります。後に説明するように、連立微分方程式の数値解では、yの1列目、2列目と列方向に計算結果が並びます。

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