“スマホの次”目指すシューズ型ウェアラブル、KDDIがコンセプトモデルウェアラブル

KDDIがスマートフォンと連動するセンサー内蔵シューズのコンセプトモデル「FUMM(フーム)」を発表した。“スマホの次”として“足元”の可能性を模索する。

» 2015年03月30日 19時00分 公開
[渡邊宏MONOist]

 KDDIは2015年3月30日、スマートフォンと内蔵センサーが連動する、子ども用シューズのコンセプトモデル「FUMM(フーム)」を発表した。

 このFUMMは同社「au未来研究所」で“スマホの次”を模索するために行ったハッカソンの参加者から出たアイデア「いつものお散歩が、冒険に」をコンセプトに、ニューバランス ジャパンの協力で開発された。

photo 4種類のセンサーを搭載した「FUMM(フーム)」。スマートフォンとの通信はBluetoothで行う。ベースはニューバランス「KV620」

 シューズには「加速度」「気圧」「カラー」「感圧」と4種類のセンサーとスマートフォンへ接続するためのBluetoothユニットを搭載しており、踏んでいる地面の色や着用者の動き(歩く/走る/跳ぶなど)を検出する。動きに合わせてスマートフォンアプリからネコの鳴き声や機関車の音など、楽しげな音が鳴るほか、距離が一定以上離れるとスマホからアラートが鳴るため、子どもの見守りグッズとしても機能する。

「FUMM(フーム)」の使用例。動物のパネルに両足ジャンプで着地すると鳴き声がするというものだが、カラーセンサーで色を、加速度センサーで両足ジャンプを検出している

 ベルクロ上部のボックスには加速度センサーと気圧センサー、電源、Bluetoothモジュールなどを配置し、中敷きには感圧センサー(つま先とかかとの2カ所)、ソールにはカラーセンサーを搭載する。

photo ソールにはカラーセンサー

 現時点では試作のコンセプトモデルということもありベルクロ上部のボックスは大ぶりだが、充電池で約10時間の連続駆動時間を持つ。ただ、量産前提で設計すれば1/4ほどの大きさに小型化が見込めるとしている。シューズ自体が持つのは、踏んでいる地面の色や着用者の動きの検出のみであり、その検出されたデータをどのように利用するかはまだ検討の余地があるという。

photo ハッカソン参加者(後列)とニューバランス ジャパン ブランドコミュニケーションチーム ウェルネスカテゴリー リーダー 小澤真琴氏(前列左)、KDDI 宣伝部 担当部長 塚本陽一氏(前列右)、前列中央がゲストの藤本美貴さん

 コンセプトモデルにあわせて制作された“遊び”は、「動物のパネル上でジャンプすると鳴き声が出る」と「線路の絵の上を歩くと、“ガタンゴトン”または“シュッシュッ”という音(電車と汽車の音)がする」という2つだが、KDDIでは“遊び”の作成ツールを提供し、シューズを履く当事者である子どもやその親が遊びを作り、自分たち(あるいは同じシューズを履く子どもたち)で楽しむといった機能拡張もあり得るとしている。

 今回のコンセプトモデルは“子ども向けシューズを使った親子向け”として試作されているが、KDDIの塚本陽一氏(宣伝部 担当部長)は、スマートフォンと連携するシューズ型ウェアラブルデバイスには親子向け以外にも可能性があると指摘する。

 通路の点字ブロックを認識してスマホへ案内するシューズがあれば目の不自由な方への歩行サポートになり、スマートホームと連携すればシューズが帰宅のサインを出し、ドアロックの解除や室内空調のスイッチ操作などを行うなどのユーザーインタフェースとして活用することもできる。

 au未来研究所は2014年度の活動として、一般の生活者を研究員、各界の識者を特別研究員として迎えてハッカソンを開催、「衣」「食」「住」それぞれに5つ、合計15のプロトタイプを開発している。塚本氏は「さまざまな製品やアイデアをau未来研究所から出していきたい」と、“通信キャリアとしてのイノベーション”を今後も模索する考えを示した。

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