効果的な原価低減推進の考え方【後編】実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(6)(4/5 ページ)

» 2015年04月13日 09時00分 公開

動作改善3原則は「動作経済の原則」

「動作経済の原則」との関連性

 「動作改善の3原則」を追求していくには、改善に際しての「動作経済の原則(the principles of Motion economy)」の実行は欠かせません。中でも「動作階級(Classes of Motion)」の“第3種;指と手首と前腕の動作”以上の高次の動作階級による作業実施を排除しなければなりません。


動作階級(Classes of Motion)  
第1種: 指の動作
第2種: 指と手首の動作
第3種: 指と手首と前腕の動作
第4種: 指と手首と前腕と上腕の動作
第5種: 指と手首と前腕と上腕と肩の動作

 「動作階級」は、一連の作業をできるだけ小さい動作や時間の短い動作で済ませるということを狙いとした原則です。そのためには、加工品、治工具類などを取り扱う作業に際して、その位置や加工完了品を手放す場所をできるだけ加工(作業)位置に近づけておくことが必要となってきます。

 一般的に動作階級が低次であるほど、努力や労力が少なく、その結果として所要時間の短縮とバラツキの最小化を図ることができます。胴の運動より腕の運動、前腕の運動より手首や指の運動になるにつれて、作業遂行を小さな運動量で済ますことができます。当然のことですが、作業に使用する身体部位の動距離が長くなれば動作時間や労力の消費量がより大きくなることはいうまでもありません。

 同じ目的で行う動作であれば、最短の距離で行うように作業設計することと、部品や工具、計測器類については、できるだけ作業に近い場所に置くように工夫します。動作距離に関しても、移動線上の障害物を排除し、できるだけ最短で直線的に動作が完了するように配慮します。

 また、作業中に発生する背伸び作業、しゃがみ作業、振り向き作業や(一歩)踏み出し作業などは、作業負担が大きくなってしまいます。その軽減や価値を生まない作業をできるだけ少なくし、作業のリズムを乱す動作などを排除することは「動作改善3原則」を意識した作業設計には欠かせません。要は、自然な姿勢で、一定の位置で作業が完了するように皆で知恵を出し合って工夫をしながら作業設計をしていくということです。

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