デジタルツインを実現するCAEの真価
インタビュー
» 2015年04月21日 14時00分 公開

オープンソース解析ツール「OpenFOAM」、決してコストだけではないその評価ベンダーに聞くCAE最新動向(1)(3/3 ページ)

[佐々木千之,MONOist]
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MONOist OpenFOAMのメリットを教えてください。

吉野氏 OpenFOAMは本体のライセンスコストがかからない分、HELYXなどサードパーティ製ソフトの利用やCAEソリューションズが提供する各種サポートサービスの費用を含めたとしても、全体として商用ツールを使うよりもコストを抑えられるメリットがあります。そのためOpenFOAMは、より複雑で大規模な解析をできるだけ速く実行して結果を得るために最も効果的な「クラウド型HPCクラスタサービス(例:IBM SoftLayerなど)」の利用と非常に相性が良いのです。

MONOist ではコスト以外のメリットについてもう少し詳しく教えてください。

吉野氏 流体解析は構造解析と違い、まだ未知の部分というか解析の余地があり、メーカーや研究機関では、いろいろな流体モデルについて研究が行われています。当然ながらそうした研究中のものには商用のコードがありません。そうした最先端の研究をアプリケーション化するときに、OpenFOAMをプラットフォームとして利用できます。OpenFOAMには基本的な数式、さまざまな流体解析の小さなアプリケーションやユーティリティ、CAD/CAMインタフェース、メッシングツールなどが部品化されて1つのパッケージになっているので、ソルバー部分の計算コードだけを置き換えればすぐに使えます。例えば新しい乱流モデルを研究開発したとして、OpenFOAMのソルバーにその乱流モデルを組み合わせればちゃんと動くアプリケーションになる。これは実際に研究されている方から見れば非常に使いやすいのです。

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 企業の中で得られた流体や連続体解析に関するノウハウを、オープンソースのプログラムとして残せることは大きなメリットがあります。商用コードもサブルーチンによってカスタマイズすることはできますが、ソルバー部分はベンダーがクローズしていて見えません。サブルーチンを書いた方は理解していても、その人がいなくなったりすると、再度それをベースに開発しようとしたときは、またスタートからやり直しです。この点OpenFOAMはソルバー部分も含めて中身が全て見えるので、メンテナンス性が良く、流用も容易です。


 オープンソースということから、いきおいコスト面に注目しがちだが、OpenFOAMの利用が進んでいる背景には、コストだけではなく、大規模計算での計算効率の良さ、研究開発に使いやすい高いメンテナンス性、アプリケーションの開発しやすさなど、商用ツールに匹敵、あるいは上回る良さが評価されていることがある。日本でのOpenFOAMの利用は欧州企業に比べて遅れているが、今後より一層の利用拡大が進むことは間違いない。

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