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» 2015年04月28日 16時00分 公開

第33回 損失の影響と解析前田真一の最新実装技術あれこれ塾(2/3 ページ)

[前田真一,実装技術/MONOist]

2.インピーダンス一定条件の損失

 損失が問題となるような基板配線では、配線の特性インピーダンスが50Ωにコントロールされている場合が普通です。

 一般のFR-4基板で配線のインピーダンスを一定にするには層厚によって配線幅を変更します。

 層の厚さはビルドアップ基板では75ミクロンから100ミクロン程度、一般の積層基板では100ミクロンから200μ程度が一般的です。

 では、FR-4基板でシングル配線50Ωで配線長さが10cm(100mm)の場合の損失を検討してみます。

2-1.外層配線の場合 (FR-4)

 表1に示すのは、外層配線で層厚を変化させた場合、配線のインピーダンスを50Ωにした場合のおおよその配線幅です。

表1:層厚と配線幅(50Ω)

 材料の誘電率は1GHzで、FR-4=4.2、高周波用材料は3.66としました。実際の誘電率は同じFR4でもメーカーの違いや厚さ、コア材とプリプレグの違いなどでも異なりますが、ここでは1つの例として、この値を使用しました。また、実際の基板では基板表面にはレジストが塗布されていて、配線特性にはこのレジストの影響が小さくありませんが、ここでは、レジストは塗布されていない状態で検討しました。

 レジストの厚さの均一性や、電気特性などは結構なばらつきがあり、配線特性にもばらつきがでます。

 図9にFR-4基板で層厚を変えた場合の50オーム配線での損失を示します。層厚が厚くなるに従い、50Ωを保持するための配線幅が広くなります。

図9:配線50Ωで層厚を変えた場合の損失(FR-4、表層配線)

 シミュレーション結果を見ると、層厚が厚く、配線幅が広くなるほど損失が小さくなることが分かります。

 図10は基板材料を高周波用の低損失材に反抗した場合の損失です

図10:配線50Ωで層厚を変えた場合の損失(高周波用低損失材料、表層配線)

 高周波用の材料は誘電損失(誘電正接=tanδ) が小さいだけではなく、誘電率もFR-4材に比べ、小さくなっています。このため、同じ板厚で50ΩにするためにはFR-4基板に比べ、配線幅が広くなります。低誘電材も層厚が厚く、配線幅が広いほうが損失が小さくなっています。さらに、FR-4基板より、この傾向が大きく出ています。きれは誘電損失が小さいため、配線幅が広く、抵抗損失が小さくなるほど損失が小さくなるためです。

 図11図9図10を重ね合わせたものですが、基板材料による損失の違いがよく分かります。

 

図11:FR-4と低損失材の損失の違い(表層配線)

2-2.内層配線の場合(FR-4)

 次に、基板材料を高周波信号用の低誘電率、低損失基板材料で検討してみます。

 解析の層構成は表2に示します。

表2:層厚と配線幅(内層 50Ω)

 ここでは、表層配線との比較のため、層厚を変更して、配線幅を表層配線と同じになるようにしています。また、FR-4材と、低損失材での配線幅の変化をなくすため、信号線層間の厚さを変更しています。

 図12はFR-4の外層配線と内層配線での、損失の違い、図13は低誘電体の場合です。

図12:表層配線と内層配線の損失の違い(FR-4)
図13:表層配線と内層配線の損失の違い(低損失材)

 図12図13を比べると、図13の方が表面層配線と内層配線の差が小さいことが分かります。これは、低損失材の誘電損失が小さいためです。

 また、線が多くて分かりにくいですが、図14図12図13をまとめて表示したものです。

図14:表層配線と内層配線の損失の違い

 解析結果を見ると、FR-4材、低損失材ともに、表層配線よりも内層配線の方が損失が大きくなっています。これは、表層配線では配線の片面は空気になっていますが、内層配線では、配線に上面、下面が両方とも誘電体となっているためです。空気の比誘電率は1、誘電損失はないので、表層配線の場合、誘電損失は片面のみとなります。内層配線では、配線の、上下両面で誘電損失が発生します。逆にいうと、外層配線と内層配線の損失の差は、片面の誘電損失があるかないかの違いとなります。

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