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» 2015年05月07日 10時00分 公開

いまさら聞けない 電装部品入門(18):カーエアコンの冷房はなぜ冷えるのか(前編) (3/3)

[カーライフプロデューサー テル,MONOist]
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冷媒が循環する冷凍サイクル

 それではここからは、冷凍サイクルの仕組みについて、順を追って説明していきます。

 構成部品に関しては、車両が生産された時代やメーカーによって若干異なっていたり、名称が異なっていたりすることもありますが、基本的な仕組みや考え方は同じです。その点はあらかじめご了承ください。

 下に示したイラストは冷媒が循環する冷凍サイクルの構成図です。

冷凍サイクルの構成図 冷凍サイクルの構成図(クリックで拡大)

 1つ1つの構成部品については、次回の後編で説明するとして、まずは全体像をつかんでいただくため、簡単に一連の流れをご説明しておきます。

 “循環”している以上、スタート地点というのは特に決まっていませんが、冷媒を循環させるための圧力を作り出しているコンプレッサー(圧縮機)から説明を始めましょう。

 コンプレッサーは、完全に気化した低温低圧のガス状冷媒をスムーズに液化するための下準備に必要な構成部品です。ガス状冷媒を圧縮して意図的に高温高圧の状態にしコンデンサー(凝縮器)へ送り出します。

 走行時に車両前方から流れ込む風(走行風)と、クーリングファンによる冷却風を強制的に受けるコンデンサーは、高温高圧になったガス状冷媒から強制的に熱を奪い去り、液状冷媒へと変化させる働きをします。

 次の次の工程であるエキスパンションバルブ(膨張弁)には、不純物のない液状冷媒のみを供給しなければなりません。そこで、レシーバタンク&ドライヤー(分離/乾燥器)に、ガス状冷媒と液状冷媒が混在したままいったん蓄え、双方を分離するとともに、液状冷媒中のゴミや水分も除去します。

 そしてきれいになった低温高圧状態の液状冷媒を、エキスパンションバルブの小さな孔から強制的に噴霧することで、急激に膨張させて低温低圧の霧状冷媒にします。霧状冷媒はエバポレーター(蒸発器)で気化し、この際に周辺から大量の気化熱を奪います。

 イメージとしては、エバポレーターが通気性の良い氷の塊になると思ってください。最近では、氷に扇風機の風を当てたり、ミスト上の水を扇風機の風に乗せたりして、夏場の簡易的な冷房を再現している場面をよく目にしますよね。

 エバポレーターには、ブロアファンによって車室内の空気が送り込まれており、その空気が持つ熱は冷媒が気化する際の気化熱として奪われます。気化熱を奪われて、結果的に冷風となった空気が順次室内に供給されるので、車室内の気温が下がっていくわけです。

 完全に気化した低温低圧の冷媒は再びコンプレッサーに吸引された後、また同じ工程を繰り返すことで、冷房機能が継続的に働くことになります。



 次回は、カーエアコンの冷房機能の後編として、今回紹介した冷凍サイクルを構成する主な構成部品と、その役割について解説します。お楽しみに!

筆者プロフィール

カーライフプロデューサー テル

1981年生まれ。自動車整備専門学校を卒業後、二輪サービスマニュアル作成、完成検査員(テストドライバー)、スポーツカーのスペシャル整備チーフメカニックを経て、現在は難問修理や車両検証、技術伝承などに特化した業務に就いている。学生時代から鈴鹿8時間耐久ロードレースのメカニックとして参戦もしている。Webサイト「カーライフサポートネット」では、自動車の維持費削減を目標にしたメールマガジン「マイカーを持つ人におくる、☆脱しろうと☆ のススメ」との連動により、自動車の基礎知識やメンテナンス方法などを幅広く公開している。



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