特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2015年06月03日 09時00分 公開

インダストリー4.0:インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開 (4/6)

[川野俊充/ベッコフオートメーション 代表取締役社長,MONOist]

基幹系と制御系の連結をどうするか

 ところで「実践戦略」で注目すべきなのは、基幹系ネットワーク(1)と制御系ネットワーク(2)の接点(3)を巧みに設計しているところである。


photo 図5:「インダストリー4.0コンポーネント」の基幹系ネットワークと制御系ネットワークへの接続は論理的にまとめられる(クリックで拡大)※出典:実践戦略

 新たに規定する「インダストリー4.0規格」に準拠した通信規格(図中緑色の線)はリアルタイム性が不要なので物理層としては既設のEthernetで十分だ。しかし、既存の制御系ネットワーク(図中灰色の線)はリアルタイム性が必要であり、物理層がEthernetとなっていないものすらたくさん存在する。インダストリー4.0対応を進めるにあたり新規格のネットワークの新設を前提にしてしまうと普及が進まないため、(1)(2)はあえて論理的にまとめるに留め、(3)が物理的に複数並立することを否定しない仕組みとなっている。

 これは「ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【後編】」で紹介した通り、制御系のネットワーク規格が乱立している状況があるためだ。無理に統一しないのは制御系の「インダストリー4.0規格」へのマイグレーションのために現実的な方策である。その一方で、主要な産業用Ethernet規格は、複数の異なる通信規格を(3)で物理的に単一のEthernetケーブルにカプセル化してまとめることが可能なので、長期的には工場内ネットワークインフラの産業用Ethernetへの移行に伴い、省配線システムが浸透していくだろう。

日本における「インダストリー4.0コンポーネント」

 「インダストリー4.0コンポーネント」は、それぞれが「オブジェクト」なので、これを複数内包するコンポーネントを定義することも当然可能である。装置を基幹系システムに単一の「オブジェクト」として見せたい場合も、装置を構成する部品単位で見せたい場合も、アプリケーションの要件に応じて柔軟に対応できるのはまさにオブジェクト指向型アーキテクチャのメリットだ。

photo 図6:「インダストリー4.0コンポーネント」は複数のオブジェクトを内包することも可能(クリックで拡大)※出典:実践戦略

 ところで、筆者がこの図を見て真っ先に感じたのは「ORiNアーキテクチャ」と酷似していることである(参考画像)。ORiNとはOpen Resource interface for the Networkの略で、ORiN協議会により制定された工場情報システムのための日本発の標準ミドルウェア仕様である(関連記事:いまさら聞けない ORiN入門)。

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