シーリングファンの回転挙動を解析、試作回数を大幅削減CAEイベントリポート(2/2 ページ)

» 2015年06月15日 10時00分 公開
[加藤まどみMONOist]
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 またさまざまな荷重条件による共振周波数の変化や、部品の変更、例えばワッシャーのサイズやブレードを取り付けている中心プレートのサイズ、接触面積、ブレードへの切り欠きを追加した場合の応力の変化の解析結果についても示した。

 シーリングファンは、ぶら下がったりブレードだけを持って運んだりといった、いわゆる想定外の条件での使用も考えられる。これらを想定した品質確認については、以前は試作金型を作って量産直前に確認していたが、これについてもCAEで解析した(図2)。ビード(板金の強度を上げるために付けられる凹凸)形状をチューニングし、変形や応力の違いを検討した。

図2:ブレードに無理な荷重を掛けた場合の応力の違い

回転系の危険速度を解析

 またRotor Dynamicsの事例として、シーリングファンの危険速度の評価も実施した。危険速度とは、回転系が共振状態となり、振れ回り現象が大きくなる速度のことである。振れ回り現象を調べるため、かつてはファンの中心に回転センサーや加速度センサーを取り付けて実験を行っていた。だがセンサーの取り付けが大変であるとともに、パイプの長さの変更や重量増加は可能だが軽くできないなど、実験には限界があった。そこでRotor Dynamicsを活用することで、事前に振れ回りの現象を検討できたという。

 解析モデルの作成においては、基本的に天井に取り付けるプレート、そこにぶら下がるシャフト、そしてブレードなど回転部の3つの部分に分け、それぞれに縮退モデルを作った。それらを統合した全体モデルについて計算も行った(図3)。

図3:Rotate Dynamics解析におけるモデル化・解析の流れ

 各条件における振れ回り現象を解析することで、必要な対策が分かったという。

 以上のように、SOL400やRotor Dynamicsを導入することで解析が効率的になり、開発手戻りを抑制できた。また試作レスの設計検討によって開発コストの削減を実現し、さらに社内製品への横展開にも貢献したとのことだ。

 課題としては、解析・モデル作成時間の短縮などを挙げた。「専任体制ができて5、6年たっている。常に社内外のニーズを元に機能を拡大しており、今後も試作レスで高品質の製品を市場に提供していきたい」(小方氏)。

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