特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2015年06月17日 07時00分 公開

MIPSのIoT“秘密組織”「prpl Foundation」IoT観測所(10)(3/3 ページ)

[大原 雄介,ITmedia]
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prplの抱える問題

 ということで、簡単にprpl(というか、prpl Foundation)の概略をご紹介した。実は同社の場合、イベントで利用したプレゼンテーションなどもほどんど公開されておらず(唯一Security PEGに関してはImagination Technologiesのものがprpl wikiで公開されている)、非常に内実が分かりにくい。

 またprplは企業会員は募集しているものの、その詳細は「メールで問い合わせよ」であり、一般開発者の参加は募集していない。ただ、だからといって何も無いわけではなく、メンバー会員に対してはさまざまな情報を公開しているようだ。これはGoogleで "* filetype:pdf site:prplfoundation.org"を検索すると色々出てくる事から推察できる(まぁこのあたりはImagination Technologiesの意向なのではないかという気はするが)。

 それはさておき、prplは何をやっているかといえば、よりMIPSベースのSoCをIoTで使いやすくするためのインフラを整えている、という事であり、上位プロトコル層に関して、今のところ、prplで何かを定めるといった動きは見えていない。あるいはクラウドとの連携についても特に言及はなく、こうした部分はMIPSベースのSoCを使うメーカーがそれぞれ考えれば良い、と割り切っているように見える。このあたりはむやみにクラウドなどとの連携までセットにされるよりはむしろ好感が持てる部分だ。

 ではprplの現在の問題は?というと、Microchipを引き込めていない事だろう。

 最初に紹介したprepの創立メンバー企業はほとんどがMIPSベースのSoCをリリースしているが、いずれもどちらかというと高機能なSoCに分類されるものが多く、これらはローエンド向けの製品というよりもミドルレンジ以上の製品に使われる。

 これはprpl foundationが推薦するprplのリファレンスハードウェアMIPS Creator CI-20というかなりハイパフォーマンスなボードである事からも窺い知れる。1.2GHz駆動のDual XBurstコア(MIP32ベース)+ PowerVR SGX540構成の SoCに1Gバイト DDR3 DRAM/8Gバイト NANDとさまざまな周辺回路を搭載した高性能なものだが、IoTの世界にはもっと性能(と消費電力、そして価格)を落としたいという用途が山ほどある。

 こういう用途にMIPSは使われていないのか?というとそんなことはなく、Microchipは同社のPIC32シリーズでMIPS M4K/M14Kコアを採用している。なのでこのPIC32ベースのMCUがprplに対応すれば、もっと適用範囲が広がるはずである。ところがMicrochip自身はprplを含む世の中のIoT団体には一切興味が無いようで、自身の製品群だけでDeviceからCloudまで接続できる事をアピールしている。

 他のボードメーカーがPIC32をベースにprpl準拠のハードウェアを作ったり、ソフトウェアの対応を行ったりすることは可能だとは思うし、そうした提案も行われているようだが(QEMU PRIP 45 - emulation of Microchip PIC32 microcontroller)、Microchipが自身で手掛けないと、どうしても進捗は遅くなりがちだ。

 もちろん他のメーカーがMIPS32ベースのMCUを広く製造・販売するようになって、これがprpl対応になる可能性もあるが、逆にそうした動きがないとprplが対応できるIoTデバイスは、結構限られた用途向けということになってしまいそうだ。このあたりが今後どう推移してゆくかが1つの焦点であろう。

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