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» 2015年07月17日 10時00分 公開

RP、AM、そしてDDMへ。モノからサービス関連へ。モノづくり技術の進化と深化プロダクトデザイナーが見たDMS2015(3/3 ページ)

[林田浩一/林田浩一事務所,MONOist]
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3Dプリンタで最終製品作るという動向は?

 今でいう3Dプリンタを20数年前くらいに初めて見たときからずっと個人的な関心があるのは、少量生産やユーザー個別のカスタマイゼーションに眼を向けた、モノづくりのためのツールという分野である。この方面も少しずつではあるけれど進展していることを感じる。いよいよRP(Rapid Prototyping)という言葉の呪縛が取れてきただろうか(今回の会場では、「RP」という表現を大々的に使っているブースも減ってきていたのではないだろうか)。

 プリンタメーカーも市場を拡大するために市場創造をしていかなければならないとすれば、いつまでもRPツール(試作のための道具)と見られることは本意ではないだろうし、ユーザー側も3Dプリンタを利用することが特殊なことではなくなってきたということだろう。

 この分野で今後の展開に注目したいと思っているのは、ストラタシスのブースで展示されていた、ダイハツコペンのカスタマイズプロジェクトだ。このプロジェクトは、ダイハツとストラタシス・ジャパンが市販化に向けた協業としてアナウンスされている。

コペンの車体
コペン向けの着せ替えパーツ「Effect Skin」

 今回の展示では、内外装に装着できるテクスチャのついたパネルがアイテムとして紹介されていた。

コペンの内装

 欧州車メーカーでも、いずれはディーラーで顧客個別のアフターパーツを3Dプリントすることを検討しているという話しも以前に聞いたことがあるので、水面下で検討を進めている企業は意外と多いのではないかと思う。今後も技術革新や素材開発が進むであろうことから考えれば、3Dプリンタで最終製品を作る環境もより整ってくるだろう。

 3Dプリンタで作る最終製品を商品としてみると、一品制作の工芸品ともマスプロダクションの工業製品とも性格が異なるものとなる。この面でもコペンのプロジェクトが、市販化の際にはどういった形で運用されていくのかという点にも興味がある。ビジネスとして運用していくには、ユーザーとの接点や関係性をどう作っていくかということも重要だ。もしユーザーに一番近い営業やサービス・フロントの人達が、新車販売時にクルマと一緒に売り込むオプション商品が増えた、という程度にしか認識しなかった場合、さほどの広がりは期待できないかもしれない。

 その他の3Dプリンティングにより作られた最終製品事例としては、ビジネスジェット機で使われるエアコンの吹き出し口であるとか、後付で2DINサイズのカーナビを取り付けるための車種別のパネルキット、などの展示も見られた。

カーナビパーツの展示(アルテック)

 どちらもFDM方式のプリンタで出力して、表面を仕上げて製品にしているとのことだ。

 用途が拡がっている分、機器や使用できる素材の幅も拡がっている。ストラタシスのウェブサイトを見てみると、3Dプリンタのラインアップを個人や小規模チーム向けの「アイデアシリーズ」、プロトタイピング用途とした「デザインシリーズ」、最終製品用の「プロダクションシリーズ」とカテゴライズしている。スリーディーシステムズの方も「デスクトップ」「プロフェッショナル」「プロダクション」というカテゴライズなので、どちらも同じような目線で市場を意識していることが伺われる。

 また機材のレンジだけでなく、素材開発の状況も最終製品作りに3Dプリンタを使う環境を後押ししてきている(これは「鶏が先か卵が先か」の話と同じであるが)。先のビジネスジェット機用のエアコン吹き出し口には、耐熱耐燃性の樹脂が使われている。航空機部品材料としての認証の条件もクリアした樹脂素材だという。

 ストラタシスは「DDM(Direct Digital Manufacturing)」という言葉で市場を創ろうとしているようだ。

ストラタシスによるDDMのプレゼンテーション

 DMSの会場や同社のウェブサイトなどでも大々的に使用している。スリーディー・システムズのサイトでも「Direct Digital Manufacturing」の表記は事例などで見られるが、ストラタシスほど大々的には使用していない。3Dプリンタの2強それぞれが微妙に違うのも興味深い。そういえばAM(Additive Manufacturing)という表現もあるが、ここにきて新たにDDMという表現が出てくるということは、世界的にあまり浸透しなかったということなのだろうか。


 2015年のDMSでは、「DDM」という表現が登場した。モノづくりの新しい選択肢が増えるよう、これからもツールや素材の開発が進化・深化していくことを楽しみにしていこう。

第26回 設計・製造ソリューション展(DMS2015)特集

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Profile

林田浩一(はやしだ こういち)

デザインディレクター/プロダクトデザイナー。自動車メーカーでのデザイナー、コンサルティング会社でのマーケティングコンサルタントなどを経て、2005年よりデザイナーとしてのモノづくり、企業がデザインを使いこなす視点からの商品開発、事業戦略支援、新規事業開発支援などの領域で活動中。ときにはデザイナーだったり、ときはコンサルタントだったり……基本的に黒子。2010年には異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。最近は中小企業が受託開発から自社オリジナル商品を自主開発していく、新規事業立上げ支援の業務なども増えている。ウェブサイト/ブログ誠ブログ「デザイン、マーケティング、ブランドと“ナントカ”は使いよう。」などでも情報を発信中。



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