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» 2015年07月24日 07時00分 公開

ロボット大国日本は負けたのか:出場チームに聞く「DARPA Robotics Challenge」決勝戦の舞台裏(後編)、「世界との差は開いた」が2020年には“現場”へ (2/4)

[大塚実,MONOist]

2度の転倒、現場で何が起きた

――DRCは自律でも遠隔操縦でもOKです。どのような戦略で競技に臨みましたか

金広氏: 通信状態が悪くなる時間帯があるので、「自律でやる」というのが基本的な考え方です。ただし、タスクによって、自律の度合いは変わります。

 例えばバルブを回すタスクでは、最初にレーザーレンジファインダで全体を計測しますが、広い視野の中からバルブを見つけ出すのは、コンピュータにとっては大変な処理。そのため、オペレータが大体の場所だけは指示を出しますが、以降は全て自動になっています。

 一方、ほとんど自律になっていなかったのは、2日目のサプライズタスクです。これはプラグを抜いて刺すというタスクでしたが、オペレータがロボットから送られてくる画像を見ながら、プラグの位置を一生懸命調整していました。

――他のチームの戦略はどうなっていました。

金広氏: 現場は準備で忙しく、他のチームの状況を見ている余裕は無かったのですが、早いチームのロボットは、より自律化が進んでいたのではないでしょうか。

――遠隔操縦の方が早いのかと思っていましたが、逆ですか?

金広氏: 通信状態が良ければ遠隔操縦をガリガリやった方が早いですが、今回はかなり通信が制限されていたので、そうだろうと推測しています。

――不整地のタスクはどのよう対処しましたか。

金広氏: 足を着地する候補地点を自動で計算して、それをオペレータに提示するようにしていました。そのままGOを出す場合もあるし、修正することも可能です。大体はそのままで良かったですが、「もう少しこっちの方が安全かな」と思って、多少直すこともありました。

――2日目、不整地を歩き終わったところで転倒しました(下動画 2:10:58)が、あれは何が起きたのでしょうか。

金広氏: あの瞬間のデータが残っていないので、確実なことは分かりませんが、ビデオの映像を見た限りでは、路面を計測したデータが、実際の高さとは少しズレていて、ちょっとつまずいたような形になったのではと推測しています。

――初日、ドアを開けようとして後ろに転倒したのも衝撃的でした。

金広氏: あれはソフトウェアのバグが原因でした。

梶田氏: ドアのレバーを回して開けようとして失敗し、レバーから手が外れてしまいました。そこで、いったん腕を初期位置に戻し、もう一度レバーをつかみに行こうとした瞬間に、ソフトウェアのバグであの現象が起きました。私はドア担当だったので、私の操作ミスで転んだのかなと思って、目の前が真っ暗になりました。

 ドアのタスクは前日のリハーサルでは、全く問題なく成功していました。しかし、ドアが開くレバーの角度は、実はコースによって違っていたのです。リハーサルのコースは30度で良かったのですが、初日のコースはドアノブのバネがかなり硬い上、70度回さないと開きませんでした。ドアの特性がコースごとに違う可能性に注意していなかったのは大きな反省点です。

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