ロボット「Palmi」開発環境が公開、Visual Studioでアプリ開発可能に対Pepper

富士ソフト「Palmi」の開発環境が公開される。Visual Studio上でのアプリ開発が可能とすることで開発者の参入を促し、開発者と利用者、双方の裾野を広げる考えだ。

» 2015年09月17日 17時39分 公開
[渡邊宏MONOist]

 DMM.comは2015年9月17日、DMM.make ROBOTSで販売している富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi」の開発環境を、富士ソフトならび日本マイクロソフトと協業して同年10月下旬より公開すると発表した。

 登録窓口は既に公開されている。基本的に登録は法人に限るとされているが、事業としての目的があれば法人格は必須ではない(DMM.com)としている。DMM.com代表取締役社長の松栄立也氏はアプリケーション開発環境の整備によって、ロボット市場が活性化させたいと取り組みの狙いを示す。

 提供される開発環境により、マイクロソフト「Visual Studio」上でPalmiのアプリケーション開発が可能となるが、10月下旬時点ではフル機能の提供は行われず、「プロジェクトの新規作成」「ビルド」「Palmiへの転送(実行)」「リソースエディタ」の各機能が提供される。

 Palmiの開発環境としては既に「Palmi Application Studio」が存在しているが、この開発環境がプラグインとしてVisual Studio上に実装されるイメージに近い。なお、Palmi Application Studioの新規開発は終息の方向で、新たに提供される開発環境へ一本化される。

富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi」 富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi」
Visual Studio上からプロジェクトを新規作成するという、一般的なアプリの開発手順でPalmiのアプリを開発できる Visual Studio上からプロジェクトを新規作成するという、一般的なアプリの開発手順でPalmiのアプリを開発できる
Palmiにとってアプリは「特技」のようなものと位置付けられる Palmiにとってアプリは「特技」のようなものと位置付けられる

 Visual Studioを提供するマイクロソフトとは、クラウド「Microsoft Azure」のマシンラーニングや画像/音声認識など知覚系クラウドAPI(Perceptual Intelligence)を活用した“クラウド型AI搭載ロボット”の開発についても協業する予定だ。

マイクロソフトの考える、ロボットのクラウド活用 マイクロソフトの考える、ロボットのクラウド活用

 「DMM.make ROBOTSで扱うロボットはあくまでも一般の消費者をターゲットにしているが、開発環境の公開によってさまざまな需要、法人需要にも応えられるようになる。AIを搭載した自律型ロボットとしては省スペース/低コストであることを打ち出して、中小企業への導入も目指したい」(DMM.com ロボット事業部 事業部長 岡本康広氏)

当初は個人ユースを重視していたPalmiだが、中小企業への導入も狙う。 当初は個人ユースを重視していたPalmiだが、中小企業への導入も狙う。小ささやコストの文字からはPepperへの対抗意識が感じられる

 富士ソフトは「Palmi」の前身ともいえる「Palro」を2010年より投入しており、現在では高齢者福祉施設や大学・企業での研究用として活用されている。Palmiが法人需要も視野に入れることから一部ではバッティングも起こることが予想されるが、富士ソフトでは受付での来客対応といった軽作業はPalmi、システムとしての導入が必要となる福祉向けはPalroというすみ分けを想定している。

 なお、DMM.comではPalmiの提供のみならず、プログラミング研修やPalmiのレンタル、開発体験の機会提供、導入コンサルティングなどの支援策も実施する予定で、開発者の製作したPalmi用アプリを一般のPalmiユーザーへ販売できるアプリストアも開設する。アプリストアは開発環境の提供と同時期、2015年10月下旬のオープンが予定されている。

関連キーワード

ロボット開発 | DMM | Visual Studio | 富士ソフト


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.