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» 2015年09月18日 10時00分 公開

ドイツ自動車メーカーがプラグインハイブリッド車を大量投入し始めた4つの理由和田憲一郎の電動化新時代!(16)(4/4 ページ)

[和田憲一郎(日本電動化研究所 代表取締役),MONOist]
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(4)今後予想される各国法規に対応

 最後に、言うまでもなく各国規制への対応であろう。欧州のCO2排出規制は、2015年までの130g/kmから、2020年までに95g/kmに強化される。そして、米国でも各メーカーからの平均燃費を規制するCAFE規制があり、温室効果ガスのメーカー平均を規制するGHG規制がある。さらには、米国カリフォルニア州のZEV規制の2018年モデルにおける強化策がある。

 そして、今後中国でも導入が検討されている中国版ZEV規制も含めて、これら各国法規に対し、数多くのPHEV(地域によりEVを含む)を投入することで、規制をクリアしていく戦略と思われる。

 ここまでをまとめると次のようになる。

  1. 開発の余地があるPHEVとインダストリー4.0を連動させることで、日米に対して競争力が保てると判断した
  2. 最大市場である中国を死守するため、PM2.5など環境問題への対応と、今後実施される中国版ZEV規制を先取りして、PHEVの重点投入を決めた
  3. 政治の影響力が強い中国と、製造分野での関係を強化するため、インダストリー4.0の内容を中国に伝え、「中国製造2025」と補完関係を築いた。PHEV、EVについても、同様にすみ分けの戦略を考えた可能性がある
  4. 欧州におけるCO2排出規制、米国カリフォルニア州のZEV規制、さらには上述の中国版ZEV規制に対し、PHEV投入が有効であると判断し、集中投資を決断した

日系自動車メーカーの対応策は

 このように、ドイツ自動車メーカーは一斉に舵を切った。これに対して、日系自動車メーカーはどのような対応策があるのだろうか。今後どういったパワートレインが主流になるのかと思いあぐねている間に、出遅れつつあるように見受ける。

 基本的な打ち手は、ドイツ自動車メーカーが打ち出した戦略の裏返しであろう。また、PHEVが増えてくると、似たようなクルマが多くなり、特徴を出すことも忘れてはならない。その際は、日本が先行した「走るエネルギーデバイス」としての考え方も有効であろう。

 円安により一息ついた日系自動車メーカーであるが、ドイツと中国との連携による攻勢、グーグル、アップルのようにゲームのルールを変えようとするゲームチェンジャーに対して、経営の不安度は増し、次第に孤立を深めているように思える。

 負け始める前に、いま一度、戦略を立て直す重要な時期にきているのではないだろうか。

筆者紹介

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和田憲一郎(わだ けんいちろう)

三菱自動車に入社後、2005年に新世代電気自動車の開発担当者に任命され「i-MiEV」の開発に着手。開発プロジェクトが正式発足と同時に、MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任。2010年から本社にてEV充電インフラビジネスをけん引。2013年3月に同社を退社して、同年4月に車両の電動化に特化したエレクトリフィケーション コンサルティングを設立。2015年6月には、株式会社日本電動化研究所への法人化を果たしている。



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