デジタルツインを実現するCAEの真価
特集
» 2015年09月18日 11時00分 公開

MONOist CAEカレッジ リポート:見えてきた、クラウドならではの使い方やそのメリット (3/3)

[加藤まどみ,MONOist]
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スパコンの利用現状とユーザーの認識は?

 最後は「CAEのライセンスコスト問題とOSSやクラウドの活用」と題したパネルディスカッションを実施。内田氏と安田氏に加えて、ソフトウェアベンダーであるCAEソリューションズ PLM事業部 部長の吉野孝氏が加わり、現状や展開などについて議論が交わされた。


photo CAEソリューションズ PLM事業部 部長の吉野孝氏

 社外からインフラを調達する際は、ベンダーが提供するクラウドの他に、公的スパコンの選択肢もある。CAEソリューションズは理化学研究所のスーパーコンピュータ(スパコン)「京」に英EngysのOpenFOAMツール「HELYX」を載せているが、使い勝手では若干問題があるという。「利用の際は申請ベースとなり、目的や内容を明らかにしなければならない。また24時間以上連続では使用できないため、何万コアを使用して一気に計算する必要がある。アカデミックには強いが企業が使うにはハードルが高いといった印象」(吉野氏)。

 一方計算科学振興財団の産業利用専用のスパコン「FOCUS」は、よくSoftLayerとの比較対象として出てくると安田氏はいう。Focusの良さは並列数が増えるに従ってコストが下がることだ。また使いたいライブラリが一通りそろっていることもメリットだという。「ワークフローや規模に応じて、社内または社外のどのリソースを適用すればよいか考える必要がある。すぐ使いたい場合や最新のCPUを使いたいといった場合は商用クラウドが適している」という。

 ホンダではセキュリティの問題で解析サーバーのほとんどは社内で用意し、外部クラウドは使用しないという。共同プロジェクトに参加する形で京を使用しているものの、現在のところは調査目的のようだ。汎用ソフトウェアが入っている点では東京工業大学のスパコン「TSUBAME」がよいと聞くと内田氏は言う。

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クラウドの可能性は

 内田氏は、あらゆる情報を3次元CAD図面に載せることができる環境では、多くのサプライヤが加わってデジタル上でモノづくりができると述べた。その際クラウド活用は必然になってくる。ただ知的財産やセキュリティに関する問題が出てくるのは明らかだと指摘した。

 安田氏は、独自の設備を持っていないスタートアップや、ピーク的に発生する案件に対してはクラウドが適しているという。また自社でどれくらいのサーバや調達能力を持っているかは常に正しく把握しておくことが重要だとした。

 吉野氏は、CAEは解析結果のデータサイズは非常に大きくなるため、ダウンロードやサーバ側で可視化して画像だけ転送するようなサービスの整備が望まれるという。新しい発想を持つベンチャー企業にとってはよいインフラとなるだろうといい、今後もその方面には積極的に提案していきたいという。

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