“ロボット電話”「RoBoHoN」のロボット的側面に注目するCEATEC 2015

シャープが発表した“モバイル型ロボット電話”「RoBoHoN」は、“ロボット型の電話”として登場する製品だが、あえてロボット的な側面に注目する。自由度は?開発環境は?音声認識は?

» 2015年10月07日 15時18分 公開
[渡邊宏MONOist]

 シャープが発表した“モバイル型ロボット電話”「RoBoHoN(ロボホン)」、CEATEC JAPANの同社ブースでも人気を博しており、海外メディアとおぼしき取材陣の姿も多く見ることができた。シャープとしてはRoBoHoNを通信機能付きロボットではなく、“ロボット型の電話”として訴求する考えだが、あえてロボット的な側面からRoBoHoNに迫ってみた。

“モバイル型ロボット電話”「RoBoHoN(ロボホン)」 “モバイル型ロボット電話”「RoBoHoN(ロボホン)」

 RoBoHoNは「ロビ」などを手掛けたロボットクリエーター 高橋智隆氏とシャープの共同開発によるもので、その外観も見る人が見ればロビの系譜に連なるものだと分かる。ただ、現時点での自由度は非公開であるほか、二足歩行機能も“呼べば来る”というような移動機能の実装を目指したと言うより、起き上がりやダンスなどのための搭載されたという側面が強い(ちなみにロビの自由度は20)。

「目」はダミーで映像取得用のカメラは額の丸い部分 「目」はダミーで映像取得用のカメラは額の丸い部分。プロジェクターは額の四角い部分
通話用のマイクは右足付け根、スピーカーは右胸に設けられている 通話用のマイクは右足付け根、スピーカーは右胸に設けられている
通話スタイル 通話スタイル

 搭載する音声認識機能による会話や音声コントロールも可能だが、特設サイトで紹介されている映像で見られるような反応を全て実現するには、LTE/3G/Wi-Fiのいずれかのネットワーク接続が必要となる。

 これは本体内部に搭載されている認識語句のボキャブラリーが「必要最小限度」(説明員)となっているためだが、ネットワークなしでもある程度の対話が可能とも言えるのは、ネットワーク接続が前提となっているPepperと異なり、設計思想の違いを感じられる。

プロジェクター投影中 プロジェクター投影中
左側面にはマナーモードと電源のスイッチ 左側面にはマナーモードと電源のスイッチ

 搭載されている機能は歩行をはじめとした基本機能とアプリに大別され、電話やプロジェクター投影などはアプリとして利用する形を取っている。アプリについてはスマートフォンのようにアプリストアのような形で追加提供する計画があり、開発環境の提供も合わせて計画されているという。なお、現時点で実装されている機能は全て音声コントロールで利用可能だが、アプリによっては背面液晶での走査が必要になるケースも想定されるとのことだ。

 なお、OSについては独自OSとされているが、ブース内で動作していたデモ機の背面液晶に表示された映像やアイコンからはAndroid OSをベースとしたOSを搭載しているように推測される。

 同社では音声認識や人工知能、IoT技術を家電製品に活用していく「ココロプロジェクト」構想を打ち出しており、音声で賞味期限を知らせたり好みの料理を提案するオーブンレンジや活動量計が起床を感知すると話しかけるエアコンといった製品を打ち出している。

 同社が2016年前半に販売開始する予定のRoBoHoNは現時点でこそ“ロボット型電話”にすぎないが、同社ではココロプロジェクトの象徴的な存在と位置付けており、将来的には家電コントロールのインタフェースとしての活用も視野に入れている。

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