新型「プリウス」は目標燃費40km/lをどうやって達成するのかエコカー技術(6/6 ページ)

» 2015年10月14日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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燃費向上に大きく寄与するハイブリッドシステムの制御

 新開発のハイブリッドシステムでは、走行時のエンジンとモーターの役割分担も大幅に変更されている。モーターのところで説明した通り、モーターを活用する範囲がより拡大する方向での変更になっている。

 それを代表するのが、エンジン停止車速域の拡大である。3代目プリウスでは、エンジン停止車速域の上限を時速70kmとしていた。これを、モーターの活用範囲の拡大に合わせて時速110kmまで高めた。これによってエンジンの間欠停止頻度も高まり、燃費性能の向上に貢献するという。

新型「プリウス」はエンジン停止車速域を拡大した 新型「プリウス」はエンジン停止車速域を拡大し、エンジンの間欠停止頻度も高めている(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 ハイブリッドシステム全体の燃費向上を100%とした場合の各構成要素の寄与率は、1位がエンジンで28%、その次に来るのがハイブリッドシステムの制御で26%を占める。トランスアクスルは13%、モーターは16%、PCUは13%、駆動用バッテリーは4%となっている。

新型「プリウス」のハイブリッドシステムにおける各構成要素の燃費向上寄与率 新型「プリウス」のハイブリッドシステムにおける各構成要素の燃費向上寄与率(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

空気抵抗係数は0.24に

 新開発のハイブリッドシステム以外の車両側における燃費向上の工夫は、空力性能の向上が中心になる。

 3代目プリウスの空気抵抗係数(Cd値)は0.25と極めて低い値だった。新型プリウスでは、TNGAの導入によって低重心化を図り、ルーフトップを3代目プリウスよりも前側に170mmずらした。さらに、フロントピラー、フロントバンパーコーナー、リヤバンパーコーナー、リヤ周りの造形に空気流を整える設計を施し、エアロスタビライジングフィンによって床下整流も徹底。そして、これらを最新の大型風洞設備でテストして空力性能に磨きをかけ、0.24というCd値を実現した。

新型「プリウス」における空力性能向上の工夫 新型「プリウス」における空力性能向上の工夫。1)フロントピラー、2)フロントバンパーコーナー、3)リヤバンパーコーナー、4)リヤ周りの造形、そして床下整流に工夫を加えている(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 この他、走行状態やエンジン暖機状態に合わせて開閉するグリルシャッターを搭載した。冷却系に走行風を必要としない条件ではシャッターを閉じて、エンジン暖機を促進しつつ空気抵抗を低減する効果が得られる。

新型「プリウス」に採用したグリルシャッターの仕組み 新型「プリウス」に採用したグリルシャッターの仕組み(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 なお新型プリウスは、「東京モーターショー2015」(一般公開日:2015年10月30日〜11月8日、東京ビッグサイト)で公開される予定だ。

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