「図面から加工方法を察してみよう」の巻ママさん設計者がやさしく教える「図面の読み描き超入門」(4)(3/3 ページ)

» 2015年11月06日 10時00分 公開
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今回のお題

 それではお題です。今回は、3種類の部品の「斜視図」を用意しました。これらの部品を加工するために必要な機械は何かを考えてみましょう。

お題(1)

 まず、斜視図Aです(図10)。“丸いもの”っぽいから旋盤加工でしょうか?

お題(1)「斜視図A」 図10 お題(1)「斜視図A」 ※画像クリックで拡大表示

 実は、旋盤だけでは作れない形をしています。上下に平らに削られている部分だけはフライス盤の応援が必要になります。

 ということで正解は、「1工程目に旋盤加工、2工程目にフライス盤加工」となります。

注:1台でこの部品を作れる複合加工機という機械はありますが、ここでは汎用的な加工の流れを説明するにとどめます。



お題(2)

 続いて斜視図Bです(図11)。折り紙のようなこの形……! これはカンタンですね。

お題(2)「斜視図B」 図11 お題(2)「斜視図B」 ※画像クリックで拡大表示

 正解は、「精密板金加工」です。

 精密板金でこの部品を作る手順は、1.抜き2.曲げ(2回)です。抜きというのは、元板をレーザー加工機などで必要な形に切り抜くことです。その後、折り曲げの機械を使って、一箇所ずつ折り曲げて完成です。

お題(3)

 最後に、斜視図Cです(図12)。これだけ、何だか意地悪なことが書かれていますね。どうやら外角が丸くなると都合が悪い部品のようです。ということは……?

お題(3)「斜視図C」 図12 お題(3)「斜視図C」 ※画像クリックで拡大表示

 一見すると、お題(2)と同じ精密板金加工でいけるかと思いますが、わざわざ「R不可」と2箇所書かれています。これがポイントです。厚みのある板を折り曲げる精密板金では、この部分のRをなくすことはできませんよね。

 ですので、正解は「フライス盤」ということになります。

お題(4)

 続いて、前述の斜視図を基に、第三角法の図面を描いてみましょう。

 作図のポイントは「部品の形状を最もよく表している面を正面図にすること」です。そうすることで、加工者に見やすい図面を作ることができます。

 ということで、斜視図Aを図面化したものがこちらになります(図13)。

斜視図Aを図面化したもの 図13 斜視図Aを図面化したもの ※画像クリックで拡大表示

 そして、こちらが斜視図Bの図面です(図14)。

斜視図Bを図面化したもの 図14 斜視図Bを図面化したもの ※画像クリックで拡大表示

【次回までの宿題】お題(5)

 では、今回の宿題です。

 お題(4)で示した2つの図面を参考に、斜視図Cから第三角法の図面を描いてください。

 今回のヒントは、……ありません(でも、数行前に“作図のポイント”を書いたような……)。



 さて次回は、宿題の図面に寸法や指示記号を入れて、“一人前の部品図”に仕上げるためのお話をしたいと思います。お楽しみに! (次回に続く)

Profile

藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)

長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。

・筆者ブログ「ガノタなモノづくりママの日常」



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