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» 2015年11月20日 07時00分 公開

zenmono通信:民間資本で月面を目指す! 「HAKUTO」のメカエンジニアが語る日本のモノづくり (4/7)

[zenmono/MONOist]

図面は言葉と同じ

enmono 放送前に伺った古友さんのご経歴が面白かったので、その辺もぜひ紹介していただければと思います。卒業してからエンジニアとして自動車を作る道に進まれたようですが、その後は割と職を転々としていたんですか。

古友氏 はい、3社か4社くらいだと思います。最初に設計として関わったのは生産技術の領域です。生産設備を作っていました。家電の設備を作っていて、その次に自動車の設備、その後に車両の製品設計・開発をやって、宇宙に行って――という感じです。宇宙と自動車を足したらローバーができるんじゃなかろうかと思って今に至ります。

enmono 今の取り組みの原点はモノづくりにあるんですね。やはりモノづくりに楽しさを感じているのでしょうか。

古友氏 そうですね。ひらめいたものを形にできた時はすごいワクワクするし、「やったった!」っていう感じが非常に興奮するなと思います。

enmono 誰かに「これをやれ」って言われてやる請負仕事の場合はいかがですか。

古友氏 スペックや要求仕様は決まってしまっているんですが、その中で導く“設計解”っていうのは、エンジニアごとに異なると思います。その時々で工程・コスト・リソースといったさまざまな制限がある中で、最大限のアウトプットができると、それはそれで楽しみがあるなと思いながらやっています。

enmono 時にはこういう設計をやりたいけどできないとか、大変な面もあったんじゃないでしょうか。

古友氏 昔は結構ありました。でも日本ってとても優れた加工技術を持つ方たちが多くて、設計側がすごい要求をしても本当に「作っちゃう」人たちがいるんですよね。「できちゃった」という(笑)。しかもその後に「こうやった方がいいよ」っていうアドバイスもくれる。製造のコンサルまでしてくれるんです。

enmono それは日本の特色ですかね。

古友氏 そうだと思います。海外のモノづくりはコストが安いということで何回か検討してみたんですけど、「3次元CADがあって、5軸の加工機があって、3Dプリンタがあったら僕たちは何でも作れます」って言われるんです。でも「いやいや違うから!」って(笑)。そこじゃないんだよっていう。

enmono 設備さえあれば何でもできるのかと、その発言を真に受ける人もいるかもしれませんね。でも古友さんは「そこは違うだろ」っていえるモノづくりのノウハウに関するバックボーンがあったということですね。

古友氏 それは加工屋さんにいろいろと怒られたり、図面を100枚くらい破かれたり、勉強させていただいてその感覚が分かるようになったというか、本当に環境に恵まれていました。上司・上長といった僕に設計を教えてくれた人たちには「モノを見ろ」「モノが一番偉いんだ」と言う人が多くて、現場にもたくさん連れて行かれたんです。

 旋盤とか小さいフライスだったら自分で使えたことがあって、悩んだ時には相談していろいろとアドバイスをいただきました。図面って言葉と同じなんですね。「僕はこうしたいんです」というのをあの中に書く。で、加工屋さんにそれを理解してもらって加工していくという。

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