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» 2015年11月25日 10時00分 公開

小寺信良が見た革新製品の舞台裏(4):ソニーがイメージセンサーで次に起こすブレイクスルー (3/5)

[小寺信良,MONOist]

裏面照射で大型化はメリットがあるのか

―― Exmor Rが高感度センサーということで商品が出てきた時に、これは小型のほうがメリットがあるといわれていました。一方で大型センサーはそもそも画素が大きいので、裏面照射は必要ないといわれていました。それが1インチ化したのが、2013年の「RX100 II」。そして2015年「α7R II」で35mmフルサイズのExmor Rがでてきました。小さい方にメリットがあるという話が変わってきたのは、何かきっかけがあるんでしょうか?

大木 カメラに実際に搭載されたものだけで見ると、一気にジャンプアップしたような印象を受けられるかもしれませんけど、センサーの大きさは用途で変わりますので、さまざまなものがあります。大きさがそのまま進化かといわれるとそうではなくて、どちらかというと画素サイズですね。

 半導体ですので、微細化をしていくというところが技術トレンドになってきます。ある一定の大きさでどれだけたくさんの素子を並べられるか、それをカメラの光学系に応じてどのサイズにしていくかというのを決めていくので。ただフルサイズぐらいの大型になると、それはそれで作るのは非常に難しくなるので、当然技術進化にはなります。

大場 構造的なメリットというところでお話しすると、まず裏面照射型っていうのは、画素の上に配線がないんで、入射角に対する依存性という点で圧倒的に有利だというのが、まず物理的なメリットとしてあります。当然そのメリットは、どんなサイズのセンサーでも生かしたい特徴になってきます。

photo ソニーの裏面照射型CMOS「Exmor R」の構造。従来は受光部の上に配線があり、入射光の全てを受光できていたわけではなかったが、基板の裏面側から光を入射させる構造(裏面照射型)としたことで、入射光を配線に邪魔されずに取り込めるため、感度が大幅に向上させることができた(クリックで拡大)出典:ソニー

 それに今後のポイントとしては、積層型(Exmor RS)ですね。まだ大きなセンサーは一部しか出していないんですけど、積層型のメリットはいろいろあります。一番大きいのは、フォトダイオードと回路が別のウエハーとなるので、それぞれを別のプロセスで作ることで、それぞれを最適化できるんですよ。フォトダイオード形成時にデジタル回路を作らなくていいから、すごく画質を良くすることができるんです。

 もう一つは、ウエハープロセスレベルで積層するので、接点が自由に作れるんですね。これはものすごくいろんな可能性が見いだせる。

 裏面センサーって小さくないと感度メリットがそんなにないような議論もあるんですけど、積層型についてはこの2つの大きな構造的な可能性があるので、これはあらゆるアプリケーションに対してわれわれの武器、世の中に新しい価値を提供できると考えてますね。

photo ソニーの積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」の構造と従来構造の比較。従来は同一チップ上に画素部分と回路部分を配置していたが、これらを分離し支持基板上に回路を構成し、画素部分と重ね合わせるという積層構造の確立に成功した。小さなチップサイズで大規模な回路の搭載を可能とした他、画素と回路を別チップとして形成できるので高画質化・高機能化・小型化を同時に実現可能だとしている(クリックで拡大)出典:ソニー

大木 加えて言うと、配線層と光を取り込むところを別にしたことで、配線のところの自由度というのが増えました。われわれ最近のカメラですと、ハイスピード撮影を始め、高速で動かしていろんな価値を提供しようとしてますけど、そのスピードにおいてもメリットがあるということが、裏面を作る中でわれわれも再認識をしているところですね。

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