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» 2015年11月27日 09時00分 公開

プロダクトデザイナーが見た東京モーターショー2015:トヨタとベンツに見る「Car」と「Automobile」の違い (2/7)

[林田浩一/林田浩一事務所,MONOist]

練り足りない感じがあるワールドプレミアの「Vision Tokyo」

 もう1台のVision Tokyoは、F 015に続く自動運転リサーチカーで、その名の通り東京モーターショー2015のワールドプレミアとして公開された。こちらも主役は室内空間で、F 015よりも若い世代を想定して、動くデジタルツールとしての性格も併せ持つ最先端のリビングスペースとアナウンスされている。Webメディアの利点を生かして、文章よりも公開されているプレゼンテーション動画の方がイメージがつかみやすい……ともいかず、このコンセプトカーには、F 015と較べてどこか練り足りない感じがありスッキリしないモヤモヤが残った。

「東京モーターショー2015」で初公開されたコンセプトカー「Vision Tokyo」「Vision Tokyo」の車室内のイメージ 「東京モーターショー2015」で初公開されたコンセプトカー「Vision Tokyo」(左)と車室内のイメージ(クリックで拡大) 出典:ダイムラー

 どちらのコンセプトカーも外観は滑らかな1つの塊のような形をしており、フロントの大きなスリーポインテッドスターのエンブレム以外は、クルマの気配を街の中に消し込んでしまおうとしているようだ。

 ただ、つるりとした外観に、ピカピカとライトが点滅する姿は、どことなくちょっと前のSF映画に出てくるクルマのような既視感も同時にあったのだが、現車を見られた方の印象はどうだろうか?

新型「スマート」から感じる“全方位制覇”

 これらのコンセプトカーは「近未来のCOOLな人は、運転なんかしないぜ!」といった世界観を示しながら、プレスブリーフィングのオープニング動画では、やたらとクルマの走りを訴求する動画を流しているのが興味深い。展示もブース前面の目立つ位置に、「AMG GT」やレーシングカー、新型「スマート」を並べるあたりからは、“全方位制覇”といった様相を感じた。

「運転しない快適な移動空間」を標榜する「VISION Tokyo」の手前に、「快適に運転する空間と走行性能」を提供する「Sクラスクーペ」が置かれていた 「運転しない快適な移動空間」を標榜する「VISION Tokyo」の手前に、「快適に運転する空間と走行性能」を提供する「Sクラスクーペ」が置かれていた。この光景は、意図的な対比の演出のようにも感じる(クリックで拡大)

 メルセデス・ベンツブースでのもう1つの注目は、新しいスマートだ。今回から2人乗りの「スマート・フォーツー」は年に数回導入する限定車となり、4人乗りの「スマート・フォーフォー」が通常モデルとなるという。軽自動車もあった初代スマートと比べると、新型は幅が1665mmと大きくなっているので十分な広さを感じる。軽自動車よりも短い全長からくる取り回しの良さなどは、Vision Tokyoよりも分かりやすいメガシティビークルだ。

新型「スマート・フォーツー」の外観新型「スマート・フォーツー」の内装 新型「スマート・フォーツー」の外観(左)と内装(右)(クリックで拡大)
新型「スマート・フォーフォー」の外観 新型「スマート・フォーフォー」の外観(クリックで拡大)

 初代スマートに乗っている際、信号待ちなどで止まっていると、小さいだけでなく短い姿は、思った以上に景色の中で「かわいいもの」としてのインパクトがあるようで、普段はクルマに全く興味がないような、おじいちゃん、おばあちゃんがニコニコしながらクルマを見ていく姿に遭遇するという経験を度々した。新型スマートもこのようなキャラクターは備わっているだろうか。

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