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» 2015年12月02日 10時00分 公開

海外医療技術トレンド(6):医療分野にも広がる仮想通貨の技術「ブロックチェーン」とは (2/3)

[笹原英司,MONOist]

電子カルテのチームがFinTechハッカソンで第1位を獲得

 2015年11月6〜8日、アイルランドのダブリンシティ大学(DCU)イノベーションキャンパスで、「Blockchain Hackathon」が開催された。主催は、アイルランドの暗号通貨/ブロックチェーン専門コンサルティング会社であるChainsmithsで、Fidelity Investments、Deloitte、Citigroupなど、金融グローバル企業が協賛する、金融×IT(FinTech)分野のオープンイノベーションコンテストだ。

図2 図2 アイルランド・ダブリンで開催された「Blockchain Hackathon」 出典:https://blockchain-hackathon.com/

 約150人の参加者が、50時間内でチームを作り、概念実証を競うコンテストで、第1位に輝いたのは「MedVault」というエンジニアチーム。ブロックチェーン技術を電子診療記録(EMR)に応用するというアイデアだった。ブロックチェーン技術があれば、患者から生成されるバイタルデータを時系列に記録し、暗号化/匿名化/電子署名によるセキュリティ機能を実装しながら、真正性、見読性、保存性のいわゆる「電子保存の3原則」を担保することが可能になる。

 そして、彼らが採用したのは、イスラエル・テルアビブのブロックチェーン関連開発スタートアップ企業Coluが提供するプラットフォームだ。Coluは、ブロックチェーンを介した基本的なトランザクションの上に、メタデータ層を構築して付加価値サービスを提供できる点を強みとしている。Coluは2015年10月、Deloitte(カナダのトロントで、ブロックチェーンソフトウェアプラットフォーム「Rubix」を構築)との提携を発表するなど、FinTechの注目企業でもある。

 金融分野から非金融分野へのブロックチェーン技術の適用拡大は、各地で広がりつつある。例えば、MITメディアラボの「Digital Currency Initiative」では、暗号化、経済、プライバシー、分散システムなど、さまざまな分野の専門家が集まって、ブロックチェーンを利用した新規分野の研究を行っている。名前の通り、デジタル通貨など、金融分野が中心で立ち上がったが、医療、行政などへと広がりつつある。

 医療分野のユースケースとしては、ブロックチェーンを利用したドナー登録、医薬品のサプライチェーン管理、ウェアラブル機器データの利用に関するユーザー主導のパーミッションなどが検討されている。また、プライバシー保護の分野では、ブロックチェーンを利用した個人データ保護対策(分散型プライバシー)などの研究が進んでいる。参考として、図3に分散型プライバシー保護プラットフォームの概要を示す。

図3 図3 分散型プライバシー保護プラットフォームの概要(クリックで拡大) 出典:MIT Media Lab「Decentralizing Privacy: Using Blockchain to Protect Personal Data」

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