MRI検査中に広視野バーチャル映像を表示する技術医療機器ニュース

東芝と東芝メディカルシステムズは、MRI検査装置のボア内に設置したドーム型スクリーンに、検査空間を感じさせない広視野・高臨場感映像を表示できる技術を開発した。閉所であるボア内へ入る感覚や検査への不安を軽減できる。

» 2015年12月14日 08時00分 公開
[MONOist]

 東芝と東芝メディカルシステムズは2015年11月30日、MRI検査装置の検査空間であるボア内に設置したドーム型スクリーンにプロジェクターから映像を投影することで、検査空間を感じさせない広視野・高臨場感映像を表示できる技術を発表した。

 この技術は、寝台の位置に応じて動く半透過ドーム型スクリーンをボア内に設置し、磁界の影響がおよばないMRI検査装置の後方に設置したプロジェクターから、スクリーンとボア内カバーに映像を投影するというもの。寝台にはミラーが設置されており、患者はそこに反射された映像を見ることができる。その高臨場感映像は、実際のボア内カバーより遠くに映し出されているように感じられるため、広々とした明るいバーチャル空間を得られ、検査空間を感じにくくなる。

 このドーム型スクリーンには、同社の車載用ヘッドアップディスプレイや超高臨場感用頭部搭載型ディスプレイの基盤技術が生かされている。物体の色や形状を処理する中心視野に加えて、空間の奥行や広がり、動きを処理する周辺視野に映像刺激を与えることで、視野角60度以上の広視野・高臨場感映像が可能になった。

 また、ドーム型スクリーンは検査前にはボア入口に位置して映像を表示しており、トンネル構造が見えないことで検査への不安を軽減する。検査開始時には寝台と連動してボア内に移動するため、患者は常に一定の映像を見続けることができ、閉所であるボア内へ入り込む感覚を低減できる。

 今後は、患者がボア内で検査していることを忘れるほどリラックスできる空間を提供するため、同技術と騒音低減技術を融合させ、早期の実用化を目指す。

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